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「お疲れさん。久しぶりやな」
仕事を終えてヘロヘロになりながら社員証をタイムリーダーにかざしていると、背後から声を掛けられた。振り返ると立っていたのは会社の先輩の岸本さんだった。岸本さんは半年くらい前に他部署に異動し、社内でも滅多に会う事は無くなっていた。
岸本さんは明るくて面白くてお洒落で優しい人だ。入社してすぐ大阪の事業所に配属された私は、関西に全く馴染みの無い人生を送ってきたため、戸惑う事も多かった。そんな私にいつも親切にしてくれたのが、岸本さんだった。
『お疲れ様です。久しぶりですね。え、今日はまた随分早いお帰りですね』
「残業減らせ言うて強制的に業務終了やねん。まだぎょーさん仕事残っとるけど、部長様がやってくれるんちゃう?知らんけど」
ワハハと笑いながら岸本さんも社員証をタイムリーダーにかざした。私たちは自然と出口に向かって並んで歩く。ビルを出れば帰り道はそれぞれ逆方向のため、もうすぐそこでお別れだ。短い再会だったなぁ…なんて思っていると、岸本さんが立ち止まって携帯を取り出し、どこかに電話を掛け始めた。
「あ、今から二人いけます?あぁ、ほなすぐ行きますんで。はい〜。……おい、ぱこ、飯行くで!」
『えっ?!わ、私もですか?』
「何や、先約でもあるんか?」
『いえ…真っ直ぐ帰ろうと思ってましたけど…』
「ほなええやんか。ほれ、行くで」
岸本さんはニッと歯を見せて笑い、歩き出した。こういうちょっと強引な所は嫌いじゃない自分がいる。
それにしても岸本さんの隣りをこうして歩くのは随分久しぶりで、こんなにも見上げなければいけなかっただろうか、なんて考えてしまう。
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