僕の幸せは、君の幸せの先に
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「なぁ、何で嫌な事あったら晩飯、俺の好きなモン作んの?」
『えっ…バ、バレてたの…?』
「まぁ、何となくやけど気付いとったわ」
『ぐぇぇぇ…悔しい…』
俺の胸に額をグリグリと押し付けながらぱこは話した。何やねん、悔しいって。
『私さ、烈がご飯食べてるの見てるとさ、何か幸せなんだよね。嫌な事も吹っ飛んじゃうくらい』
「ふ〜ん。別に愚痴吐いてもええんやぞ?なんぼでも聞いたるやん」
『う〜ん…何ていうか…私にはこんな幸せが目の前にあるじゃん、って思うとどうでも良くなっちゃうんだよねぇ』
胸の辺りにあったぱこの頭がよじよじと上ってきて、目の前に顔がある。眉毛が極端に少ないこの素顔もすっかり見慣れてしまった。
『あ、もしかして頼られて無いと思って寂しかった?』
少し心配そうに俺を見つめるのが愛おしくて、思わずクスリと笑ってしまう。
「いや。お前がええならそれでええ。お前が幸せなら俺も幸せや」
柔らかい頬に触れると、途端に目がうるうると光を集める。全く、素直じゃない奴やのう。
「我慢せんと泣いたらええやん」
『違うよ?烈の言葉が嬉しくて感動したんだもん』
「はいはい。分かった、分かった」
唇を重ねると、頬を熱いものが伝っていくのが分かった。これが悔し涙なのか、嬉し涙なのかなんてどっちでも良い。俺は何だって受け入れてやると、決めているから。
だから明日の朝、嘘みたいに苦くて濃いブラックコーヒーを飲みながらヘラヘラ笑ってみせてな。
実はそれが俺の幸せだという事を話すのは、もう少しお互い皺々になってからにしようかな。
気付けば鼻をすする音がいつの間にか寝息に変わっていて、また一つ幸せを見つけられた気がした。
この上なく幸せな事だと思う。
おわり
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