僕の幸せは、君の幸せの先に
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〝今日の晩御飯、烈が好きな物作るよ。何が良い?〟
昼休みに嫁さんからこんなメールがきていて、またか、という気持ちになる。
確か今日は午後半休を取って美容院に行くと、朝は機嫌良く言っていたような…。
ぱこが晩飯に俺の好きな物を作ると連絡してくる時は、決まって何か嫌な事があった日だ。でも帰ったらめちゃくちゃ愚痴を吐くという訳では無く、ただ俺と一緒に晩飯を食うだけだった。何となくアイツの雰囲気で嫌な事があったと分かってしまうが、向こうが何も言わないならこっちから敢えて聞く事はしない。そして、朝になるといつも通りヘラヘラ笑って珈琲を飲んで笑っている。
一筋縄ではいかない奴だと知ってはいるが、まぁアイツがそれで良いなら俺もそれで良いんじゃないかと思う。
そんな事を考えながら、俺はさっきのメールに返信を打った。
家に帰ると玄関で既に美味そうなにおいがした。リビングに入ると主人の帰りを待っていた犬が尻尾を振るように、ぱこが嬉しそうに俺の方にやって来た。
『おかえり。リクエストの物、ちゃーんと作ったよ』
「おーきに。…髪、結構切ったんやな」
『あ、うん。毛先傷んでたし、もうすぐ春だから気分転換にね。あ、見て!内側にエメラルドグリーンっぽい色入れたの!ほらぁ!』
肩くらいまで伸びていた髪が顎のラインくらいまで切られていた。まぁスッキリしたと言えばそうだが、少しやる事がオーバーな気がする。しかし本人が良くてしている事なのだから、当然否定するつもりはない。
綺麗に染まった髪を指ですくい、まじまじと眺めてみる。
「ええ青緑やな」
『エメラルドグリーンって言ってよっ!』
「おんなじやろ」
『微妙にちゃう!!』
関西出身では無いぱこからこうしてたまに出てくる関西弁はどこか違和感があるが、そういう未完成な感じがまた愛おしい。ポンポンと頭を撫でてやると、ぱこはさっきよりも嬉しそうにはにかむ。こういうリアクションや行動の度合いと、嫌な事の度合いが比例している事も俺は知っている。
着替えをしながら、どうしたものかと少しため息が漏れた。
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