みっけ!


狸さんの返事が、この前と変わっていた。

この前見た時は「なんでやねんw」だったのに、さっき問題用紙を配った時は「こちらこそ、いつもおーきに」になっていた。

あのシュッとした子が狸さん…?え…ヤバい…めっちゃタイプなんですけど…。

いやいや!でも私の講義の後にこの部屋で何回か講義はやっているはずだし、彼がそうだとは断言出来ないのは分かっている。けれど、もし、もしそうだったとしたら…ブランケットのウォンバットに気付いてくれるはず…!そう思い、私は持ってきたブランケットを膝に掛けて試験監督を続けた。彼はこっちを見てはいない。そんなにテスト難しいのかな…。教授のアホ!!


それからようやく終了のチャイムが鳴り、私は再び一人一人から解答用紙を回収し始めた。そしてついに彼の横に立った。ドキドキしてるのがバレてしまいそうで、ササッと回収してしまった。近くで見るとめちゃくちゃ男前やん…と思っていると、バッチリ目が合ってしまった。その瞬間、『あ…』と声を漏らしてしまった自分が情けない。すると、彼がプッと少し笑った。もうドキドキが止まらなくて、その後の解答用紙をどうやって回収したかあまり覚えていない。



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