みっけ!


大学の特に大きな講義室ってやつは、月日が経てば大体座る席が固定されてくる。

いつも一番前に座る真面目そうな奴ら、講義が始まると爆睡する奴ら、女はあからさまにタイプ別のグループに分かれて座っている。

そもそも金払って大学に来とんのに、講義で寝るのは正直ありえへんと思う。かと言って、一番前に座って目をギラッギラ光らせて聴く気にもなれない。

そういう訳で廊下側の真ん中よりやや後ろの端の席が俺の定位置になっている。いつものように講義が始まる5分前くらいに席に着き、ノートとペンを用意して座って待つ。大学の講義室ってのはどうしてこうも足元が冷えるのだろう。俺はデカい身体を縮こませていた。

ふと机の端が目に入った。何か書いてある…?よく見ると、シャーペンで書いたのか薄く細い線で熊?のようなゆるゆるな絵が描いてあった。そしてその熊に吹き出しがついていて「眠た…」と言っているように描かれていた。

別に上手い訳でもないが、何となく可愛らしいその絵を見ていると妙に癒された。そして本当にただの気まぐれで同じような熊を描き、「ホンマやな」と言わせてみた。こんな事で気分が上がるなんて、よっぽど疲れているのだろうか…。

そうしている内に先生が入ってきて、講義が始まった。ちゃんと聴いて何となく理解は出来たが、相変わらず眠たくなる声色だった。



.
1/6ページ