Drizzle melts ...
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それから大学に進学し、あっという間に四年生になっていて、今日を迎えた。
仙道くんの部活をこっそり覗きに行ったのが懐かしくて、私は吸い込まれるようにボールの音がする体育館へ向かう。
そうそう。この重い扉を少しだけ開けて、隙間から仙道くんを見ていたんだっけ。今思えばまぁまぁ分かりやすい行動をしていたな、と笑えてくる。懐かしい扉をあの頃のようにそーっと開けると、中にいる人物を見て私はまたあの日のように意図せず声を漏らす。
『せ…んどう……くん…?』
体育館でバスケをしていたのは、朝練中のバスケ部員ではなく、仙道くんだったのだ。大人になっていたけれど、一目で分かった。そして相変わらず楽しそうにバスケをしていた。
思わずドアをガラリと大きく開けると、仙道くんはこちらに気が付き、あの日のように驚いて私を見た。
「えっ……もしかして…名字さん…?嘘ぉ…」
『こっちの台詞だよ。な、何で此処にいるの…?』
「俺、今日から教育実習なんだ」
『えっ…わ、私もだよ!!』
こんな事ってある…?しかも再会の場所がまた学校だなんて…これってもう……運命なんじゃない…?なんて自惚れはさすがに声には出していなかった。私も随分大人になったものだ。
「久しぶりに此処に来たら、あの日の事思い出してたんだ。そしたら名字さんが現れた。もしかしたら俺はもう死んでて、想像の世界を生きてるのかなぁ」
『いやいや…ちゃんと現実だよ。そういえばさ、あの日も仙道くん言ってたよね?私が来るんじゃないかと思ってたら本当に来たって。何で私に来て欲しかったの…?』
そう言うと、仙道くんはあの人の同じようにぽりぽりと頬を指でなぞった。
「俺も名字さんが好きだった。でもバスケしながら大事に出来る自信が無かったんだよ。だからまた会えたら…なんてかっこつけて言ったけどさ…本当はずっと後悔してた。だから今、本当に驚いてるよ」
『ホ、ホントに…?』
「あ、いや…〝好きだった〟じゃないな。今も好きだ」
細く静かに舞っていた霧雨が、じわじわと溶けて無くなるように晴れてゆく。
ずっと会いたかった、ずっと確かめたかった、あなたの心。
この気持ちを、この場所から始めよう。
Hello, again a feeling heart.
Hello, again my old dear place.
おわり
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