Drizzle melts ...
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『うわ…懐かし過ぎ……』
朝陽を浴びながら見上げるのは我が母校、陵南高校だ。
大学四年になった私は、教育実習の為にここへ来ている。卒業して以来の校舎はちっとも変わっていなくて、あの頃に戻ってきてしまったのではないかと思えるくらいだ。
ふと、体育館からボールの弾む音が聞こえた。途端に、私は当時大好きでたまらなかった人物を思い出した。
その人の名は、仙道彰。
同じクラスで、いつもぼんやりしていて、でもバスケをしている時はウソみたいにかっこ良かった。
卒業間近のある日、教室に忘れ物を取りに行くと仙道くんが一人、ぼんやりと窓の外を眺めていた。私に気付いて振り返った時、その微笑みが夕陽に照らされて綺麗だった。
「あれ名字さん、どうしたの?忘れ物?」
『あ…うん。そうなの。仙道くんは何してんの?』
「ん〜…何してんだろうね。ハハッ」
少し寂しそうな表情の仙道くんを見ていると胸がギュッと締め付けられた。その時まで気持ちを伝える気なんて全く無かったはずなのに、何故か今言わなければという衝動に駆られた。
『私、仙道くんが好き』
何も考えず、躊躇わず、自然と声が出てしまった。そしてようやく頭が追いついて、自分がしたことなのに次の声が出なかった。
仙道くんは少し驚いたような顔をしてこっちを見ている。そして照れているのか、ぽりぽりと人差し指で頬をなぞった。
「ありがとう。嬉しいよ。でも今は…」
『分かってるっ!』
怖かった。だから被せるようにして、つい声を出してしまう。
分かっている。
仙道くんが大学にバスケの推薦で入ったことも、国の強化選手に選ばれていることも。
仙道くんにはバスケしか見えていないんだって。
分かってるよ。だから気持ちを伝えるつもりなんて無かったのに。
でも、無意識に溢れるくらい好きなの。
大好きなの。
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