ロスタイム
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「お前らが両思いなの、皆知ってたよ」
『えっ…』 「……」
「逆に何で気付かないかずっと不思議だったよね〜」
「ホントそれ」
どうやら、誰がどう見ても長い間お互い好き同士だったらしい。嬉しいような、悲しいような…。そんなことを思いながら、私はバーベキューをしている所から少し離れた所でぼんやりと夕空を眺めていた。すると、隣にぽわんと温かさを感じた。それが見なくても淳だとすぐに分かった。
「僕らって誰がどう見てもお似合い言うてたねぇ」
『いや…そこまでは言ってないような…』
「ほな、今なら堂々とちゅー出来るなぁ」
『えっ…ちょ……んっ…!』
淳は私の肩を引き寄せ、そのままふわりと唇を重ねた。さっきとは違い、触れるだけの甘いキスだ。そして唇を離し、お互いジッと見つめ合う。
「名前、好きやで」
夕陽に照らされた淳の細い髪がオレンジ色に染まって見える。その柔らかい微笑みは、あまりにも切なくて、愛おしくて、涙が出そうになった。
『私も好きだよ』
今私がどんな顔をしているのかは分からないけれど、淳もきっと私と同じ気持ちなんだと分かった。
「おい!お前ら、イチャつき過ぎー!」
遠くから友だちがこちらを見て叫んでいる。淳は振り返り、友だちにヒラヒラと手を振った。
「ほな見んかったらええやんな」
『ふふっ…そうだね。あのさ、淳』
「ん?何?」
『時間が掛かった分、たくさんイチャイチャしようね』
そう言った時、一瞬だけど淳の顔が赤くなったのを私は見逃さなかった。そして小さく頷いた。
今まで言えなかった〝好き〟を、いっぱい伝え合えたら良いね。
星空になっても気が付かないくらいに。
ロスタイムは、幸福の時間。
おわり
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