Audrey for you.
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気が付けば、別の衣装部屋にいた。店員さんに座るよう促され、従うとそこからは何が何だか全く分からない状況が続いた。
(あれ…?私、何してるんだっけ…?)
髪をいじられ、メイクをされ、着替えまでさせられていた。そして最後、足元に赤いハイヒールが置かれた。
「履いたら完了です。さぁ、こちらへどうぞ」
カーテンが開かれると鏡が現れ、そこに映る自分は髪を開けまとめ上げ、しっかりめのアイメイクと鮮やかな紅い唇が印象的で、黒のドレスに赤いハイヒールを身に付けていた。これではまるで、〝あの日のオードリーヘップバーン〟だ。
『えっ…あの…コレって…?』
「旦那さまからご依頼を受けたんです。こんなサプライズするなんて、素敵な旦那さまですねぇ」
店員は羨ましそうに微笑んでいる。確かにこんなサプライズをするなんて素敵過ぎるが、まさかあの南が…?
名前は未だに現実を受け入れられず、ポワポワしている内に南と子どもが待つ撮影室に来ていた。名前の姿を見ると、南は目を細める。
『あの…烈…これ……』
「やっぱよう似合うとる。あの日の名前は、忘れられんくらい綺麗やった。もっかい見たかったのと、せっかくやから写真撮ったろ思ってな。お義母さんたちにも協力して貰ろたんやで」
『えぇ〜……こんなんされたら…っ……もぉぉぉ……めっちゃ嬉しい…』
「今から写真撮るんやぞ。泣くのんは後にしい。ほら、おかんベッピンやろ。浪速のへっぷばぁんやからな」
南は腕の中の子どもに優しく話しかけた。子どももパチパチとまばたきをしながら名前の方を見ている。
幼い頃からそうだった。普段はあまり口数は多く無いのに、いざという時、一番に寄り添ってくれたのは南だった。
こんなにも愛されているのに、何故躊躇ったりしたのだろう。
もう、大丈夫。
烈となら…。
『アンタもお父ちゃんみたいなええ人見つけなアカンで』
名前が子どもに優しく話し掛けると、子どもは南の方をジッと見てにぱっと笑顔を見せた。
「おとーちゃ!」
『えっ…うそ……初めて単語喋った……!烈!喋った!お父ちゃんやって!!』
南は驚きと恥ずかしさが混じったような表情をしている。そして少し戸惑いながらも、子どもに微笑みかけながら優しい声で話し掛けた。
「おう。お父ちゃんやで。お前も母ちゃんも守ったるからな」
後日届いた写真を見ると、少し目が腫れて映っていたが、この日の思いを映し出したようで名前は嬉しくて、また目頭が熱くなった。
映っていた浪速のオードリーヘップバーンは、大きな口を開けて満面の笑みを浮かべていたからだ。
おわり
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