後編
NAME CHANGE
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「俺もな、あの日が忘れられんかってん。よう名前ちゃんの事、思い出しとった」
『そ、そうなん…?』
「ほんでさっき言うたやろ。〝蜂蜜みたいな味がする〟って。それ聞いたら、何ちゅーか…他の奴に言うて欲しくないって思った」
名前ちゃんはカーッと顔を赤らめ、少し俯いた。
『あ…あれは……岸本くんにしか言うた事ないよ』
もじもじと話す姿が愛おしい。俺は思わず名前ちゃんを抱き締めた。
昨日までずっと抱えていたこの気持ちの正体が何なのか、ようやく確信出来た。
伝えなきゃ。
今しかない。
「順番は逆になってしもたけど……俺の彼女になってくれへんか…?』
言えた。自分の正直な気持ちを。名前ちゃんは何も言わず、ゆっくりと俺の背中に腕を回した。俺はさっきよりも強く名前ちゃんを抱き締める。
「これから先も俺にしか言わんで欲しい」
『え?何を…?』
「〝蜂蜜みたいな…〟ってやつ」
『…言わんよぉ』
耳元に直接響く甘い声が可愛い。
もっともっと触れたくて俺は身体を引き離し、名前ちゃんを見つめる。そしてゆっくりと目を閉じ、唇を重ねた。
冷たい空気を纏い、触れるとどんどん熱を帯びていく。それは身体だけでなく、心もだ。じんわりとゆっくりと温かいもので満たされてゆく。
今なら分かる。
それが冬のせいじゃないということも、
ずっと君を好きだったということも。
おわり
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