妄想、晴れの日
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妄想が終わると、三人は満足そうにフゥと息を吐いた。白い蒸気がほわほわと立ち込めている。
「ええ話やなぁ」
「アカン…何かもう泣けてきたわ…」
「いや、全部妄想やし」
南のツッコミなどお構いなしに、三人はどっぷりと余韻に浸る。
『なぁ〜、皆の想像の中で私は何色の振袖着とった?』
「そらもちろん、豊玉ブルーやろ!」
「え〜!僕の中で名前ちゃんは赤とか紫のイメージなんやけど」
『あー、ええなぁ。烈は?』
「いや、せやから全部妄想やし」
『何やねん、ノリ悪いなぁ。えー、でもホンマ今から何色がええか考えとこ。あんまり他と被らんのがええなぁ』
今度は名前の振袖を何色にするかで盛り上がっている。
「グレーとか銀っぽいのんて大人っぽくてええんちゃう?」
『さすが淳!センスええなぁ』
「いや晴れの日やし、どうせなら銀やなくて金にしたらええやん。目立つで〜!」
『金色もなんや見たことあるけど、上品な感じするよなぁ。烈はどう思う?』
南は想像してみた。
名前が金の着物を着ている姿を。
(金の着物……あれ……?)
南はハッと何かに気付き、ニヤリと微笑みながら三人の方を見る。
「マ◯ケンサンバか!!」
上手いことを言ったと思い、ドヤ顔かつ大声で南はツッコミをかました。その姿を見て、三人は亜然とする。
「えっ…お前、ホンマ大丈夫か?」
「南、今年はツッコミやなくてボケに転向した方がええんちゃう?」
『烈…もしかしてホンマはボケ担当やりたかったん?もー、そんなら早よ言うてよ〜。ツッコミ用意してへんやん』
やれやれ、と言わんばかりに三人は歩いて進む。南は早くも今年一番の大スベリを晒してしまったようだ。少し凹みつつ、まだまだだな…と拳を握った所でハッと我にかえった。
「いや、せやから全部妄想やろうがぁ!!」
今年も南のツッコミは絶え間なく続く。自由なボケを三人も抱えているのだから。
二年後、どんな晴れの日を迎えているのだろう。
楽しみなような、不安なような気もするが、とにかくまた四人揃っている事は確実だろう。
「…しゃーないな」
南はフッと笑い、三人を追い掛けた。
その後、南は板倉家のカルタ大会で怒涛の全勝を成し遂げ、〝カルタ大魔王〟という新たな称号を手に入れることになる。そして、それはこれから毎年語り継がれるようになるという事はまだ誰も知らない。
晴れの日、どうか健やかに美しく在れ。
おわり
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