帝王の誘い
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校門を出て少しすると、牧がようやく話し始めた。
「名字、外部受験するんだろう?」
『あ、うん。そうだよ。センター試験もバッチリ受けるよ。牧は内部進学だよね?ていうか、バスケ推薦で余裕で決まったじゃん』
一体何を言い出すかと思えば受験の話か…。いや、待てよ。初めは枕詞的に旬な話題を挟んできただけなのかもしれない。気を抜くな。牧が私を呼ぶのはいつも部活に関する事ばかりだったんだから。
「俺は大学でも名字とバスケがしたかったんだが、まあ、名字の人生は名字が決める事だからな。口出しするつもりはないが…」
な、何だろう…。何だかいつもと明らかに様子が違う。もしかして何か悩みでもあるのだろうか。
『牧…どうしたの…?何かあった…?』
「ん?いや……まぁ…あった…な」
少し顔を赤らめる牧を見て、私の女の勘がピコンと音を立てて働く。
『あ!分かった!好きな子が出来たんでしょ?!』
そう言うと、牧の顔はさっきよりもさらに真っ赤になった。分かりやす過ぎるし、何よ…可愛いところあるんじゃん。〝帝王〟なんて呼ばれてたくせに…。
「…よく分かったな。さすが海南バスケ部のマネージャーだ」
『まあね。三年間、苦楽を共にしてきた仲だし?』
やっぱりそうか。牧にこんな顔をさせるなんて、一体どんな人なんだろう。やっぱり帝王に相応しい女帝的な人なのかな…。
牧は恥ずかしそうにしながらも、話を続けた。
「卒業前に気持ちを伝えたいんだが、受験もあるしな。それでまずは合格祈願の御守りをプレゼントしようと思うんだが…どうだろうか」
『えっ…めっちゃ良いと思う!きっと女帝はすっごい頑張れると思うよ!』
牧は私の女帝発言にツッコミもしないし、疑問を持つ余裕も無いようで、「そうか…」とただホッとしたように頬を緩めた。
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