帝王の誘い
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「名字、今日一緒に帰らないか」
昼休みにお弁当のミニトマトを食べようと口を開けた途端、マネージャーをしていたバスケ部の牧にそう言われた。と言っても、部活は冬の選抜を終えて引退していて、牧とはクラスも違うため最近はあまり顔を合わせていなかった。部活以外で共通点が無いため、何故?としか思えなかった。
『あ、うん。いいけど、部活で何かあったの?神ならしっかりしてるし、大丈夫だと思ってたけど…』
「いや…まあ、ちょっとな。とにかく放課後、玄関で待ってるからな」
そう言って、牧は行ってしまった。何となく寂しそうな表情をしている気がして何だか不安になり、午後の授業はあまり集中出来なかった。もう引退したから、と一線引いたつもりでいたけれど、やっぱり私の高校生活は部活が全てだったんだなと改めて感じた。
放課後になり、私はコートを羽織って急いで玄関に向かった。さすがにチャイムが鳴ったばかりでまだ誰も居なく、自分の息切れする音だけが冷たい空気を揺らしていた。するとその音で気付いたのか、靴箱の影からひょこっと牧が顔を出し、小さく手を上げた。
「ハハッ…随分早いなぁ」
『ま、牧こそ…。やっぱ話って、深刻な事なのね…?』
「ん?まぁ…な…。ここじゃ何だから、歩きながら話そう」
やっぱりそうなんだ…。牧の表情から只事では無い事を察し、靴を履き替えて私たちは歩き出した。
三年生が抜けてもメンバー的には何ら問題は無いはずだけど…まさかノブナガが辞めるとか言い出したんじゃ…?それとも監督が変わるとか?
とにかく頭の中で考えを巡らせるけれど、考えた所で答えが出る訳ではない。牧が口を開くまで黙っていよう…。そう思いながら、ただ牧の横に並んで歩いた。
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