未来もきっと
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それから私は今まで以上に仕事を頑張った。クライアントの要望とコストが合わずに頭を悩ませたり、試作品が出来ると色がイメージと違うと突き返され、外注業者に何度も頭を下げたりした。
そして何とかギリギリ、本当にギリギリで納期に間に合わせた。かなり疲れたし、こんなに栄養ドリンクを飲んだのは初めてだったけれど、皆が納得出来る仕上がりになり、何よりクライアントにお礼を言われた時は涙が出る程嬉しかった。
それからあっという間に月日は流れ、気付けば仕事おさめの日を迎えた。私は定時で退社し、その足で新大阪駅に向かった。神奈川に着くのは夜中になってしまうけれど、魚住さんが迎えに来てくれると言ってくれたから、私は迷わず新幹線に駆け込んだ。
いつもならうたた寝してしまう新幹線移動も、今日は何だか胸が高鳴って外の景色ばかり見ていた。時々、魚住さんの事を考えてニヤけてしまう自分の顔が窓ガラスに映る。大阪に来たばかりの事を思うと、こんな顔が出来るようになったんだと思った。初めは不安ばかりで、いつもメソメソしていたから。
新横浜駅に着くと、改札口で魚住さんが待っていて、私に気付くと手を上げた。久しぶりに見る魚住さんは何だか少し大人っぽくなった気がして、少し照れてしまった。
「久しぶりだな」
『うん。会いたかった』
大きな手が私の頭を撫でる。いつも温かくて、安心出来る。
「見せたい物があるんだ。これから店に来てくれないか」
『えっ…お店に?』
大きな手が私の手を包み込み、そのまま歩き出す。新作のお料理が出来たのかな。魚住さんは子どもみたいに目を輝かさせ、早く早くと言わんばかりで、こういう少年のような一面が私は大好きだ。
タクシーで店に向かう途中も魚住さんはずっと手を握っていた。前よりもずっと逞しくなったのは、努力の証なのだろう。どんなお料理を見せてくれるのか、本当に楽しみだ。
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