前編
NAME CHANGE
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
そんなある日、大きめの仕事がひと段落し、一人でコッソリとお疲れ様会をすることにした。場所は行きつけのダイニング。照明が薄暗い店内にはバンドロックが流れる。ここはお酒も料理も美味しい。今日はどうしても美味しいのが食べたくて、合鴨のローストなんて注文してしまった。
店員さんが選んでくれた料理に合う日本酒を少し口に含む。日本酒が鴨の風味を引き立てる。
仕事、頑張って良かった…と微笑みながら次を口に運ぼうと口を開けたその時だった。
「あれ?名字さん…?」
私を名字で呼ぶということは、仕事の関係者だ。せっかく仕事を忘れられるひとときを堪能していたのいうのに…。
嫌々振り返ると、立っていたのは取引先の担当者である神さんだった。
きっと私より若いのに、話し方も言葉選びも、仕事の進め方も全てにおいて完璧な人だ。彼のおかげで今回の仕事が上手くいったと言っても良いくらいだ。
『神さん。偶然ですね』
「お一人ですか?」
『あ、はい。仕事が落ち着いたので祝杯です。この度は本当にありがとうございました』
「もう退社してるんですし、仕事の話は止めましょう。僕も一人なんです。良かったら一緒に良いですか?」
『もちろん!どうぞ』
私と相席をすると店員に伝え、ファーストドリンクを注文するのさえもスマートだった。容姿も整っているし、非の打ち所がない。
.