後編
NAME CHANGE
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世間はクリスマスに浮かれている。
そんな俺は今日もバイトをしている。バイト先は本屋で、裏方で在庫管理や発注をやっている。こんな日にシフトを入れるのは俺くらいのもので、店長には感謝されていた。
と言っても、店は20時には閉店してしまう。片付けをして、着替えを済ませて外に出る頃には、街にはいつも以上にイチャつくカップルで溢れていた。
名前、どうしてるかな…。
本当は俺も、あのカップルのように名前と寄り添って堂々と街を歩きたい。クリスマスに浮かれる気なんてさらさらないが、ただ一緒にダラダラとテレビを見て過ごすだけでも良い。
そう思った俺は脚を止め、西の方を回って帰ることにした。何だか、少しでも名前がいる方に近づきたくなったから。
ぼんやりと歩いていると、青い光が遠くに見えた。そういえば、あの広場でイルミネーションをやっていると店長が言っていたような…。青には色んな思い出がある。ユニフォーム、名前を抱いた夜に着ていたカーディガン…。
俺は何かに導かれるように、青い光の方に向かって歩いて行った。
どのくらい歩いたのだろう。随分と時間は掛かったが、広場に到着した。普段イルミネーションを見ても、電気が光っているだけ、としか思わない俺だが、目の前の光景を素直に綺麗だと思っている。少し立ち止まっていると、目の前に息を切らして走ってきた人が現れた。服装と行動のギャップに違和感を感じ、何となく見ていた。そして、その人が顔を上げた瞬間、俺は大きな声で愛しい人の名前を叫んでいた。
「名前…!!」
名前がいる。
会いたくて会いたくて堪らなかった名前が目の前にいる。
奇跡としか言いようがない。
俺は駆け寄り、思い切り名前を抱き締めた。
この柔らかさ、このにおい、一度も忘れた事なんて無かった。
『烈……何で…?』
「名前……会いたかった…」
駄目だ。触れてしまったら、もう離すことなんて出来ない。
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