後編
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走った。
ただひたすら、目も暮れずに。
でも、思った以上に32歳の自分は走れなかった。すぐに息が上がり、脚が思うように前に進まない。
こんな生活を忘れたくてがむしゃらに働いた。気付けば30歳を過ぎていて、ある日突然、若い頃着ていた服やメイクが似合わなくなった。
どんどん先に歳を取っていく私を、烈は本当に受け入れてくれるのだろうか。
烈を縛り付けるようなことはしたくない。
いっそこのまま烈にも告げずに消えてしまおうか。
ダメだ。消えたくても、もう息が続かない。
私は走るのを止めた。呼吸を整えふと顔を上げると、目の前は一面ブルーの光に包まれていた。見事に飾られたイルミネーションが美しく光を放っていたのだ。
『綺麗……』
思わず声に出してしまう程だった。澄んだ空気に凛として、何かを導くように光っている。優しく降り注ぐような気がして、思わず両手で受け止めたくなった。まだこんな感情があったんだなぁ…なんて思いながら。
「名前…!!」
突然、背後から声がした。
それは、私がずっとずっと待ち焦がれた人物の声だった。
振り返れば、驚いたような顔で立ち尽くす烈がいた。
嘘…何で…?
もう訳が分からず、気付けば私の目からは涙がポタポタと溢れ落ちていた。
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