前編
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「これ、来て欲しい」
久しぶりに帰ってきた旦那から、小さな紙を渡された。それは、旦那の会社のクリスマスパーティーのお知らせだった。従業員とその家族が集まって、親睦を深めるものらしい。
「お偉いさんも来るんだ。一緒に頼む」
つまり、結婚しているのに嫁を連れていかなければ周りに何か言われるのではないか、という旦那の身勝手な思想からくる話だった。ここで難色を示せば、後々の事を考えるとややこしくなる。ここは貸しを作る意味でも、受け入れておく方が良いだろう。
『分かった。用意しておく』
「あんまり派手にするなよ。お偉いさんの奥様たちより目立ったらマズいからな」
吐き捨てるように言って、旦那は再び出て行った。別の女が待つ家に。
あと少し。
あと少しで、迎えが来る。
待ち焦がれたその日を思い、目を閉じてみる。
目を閉じれば、旦那の影がたくさんチラつくこの家を見ないで済む。そして、あの日のように烈が優しく抱き締めてくれる。
烈の声が聞こえる気さえする。
離れていても、私に希望をくれる。
やけに心地良くて、指先まで熱くなる夜だった。
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