冷めたココアも悪くない
NAME CHANGE
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
彼女が僕の手を掴んで走って逃げてくれたあの日から、僕は色んなことを知らなかった事に気が付いた。
朝、携帯の目覚ましを止めて一番に目に映るのは、恥ずかしそうにこっちを見て微笑む壁紙の君。
「おはよーさん」
そう言って携帯を置き、カーテンを開ける。陽の光がこんなにも綺麗だったと今まで知らなかったことが勿体ない。
歯を磨き、顔を洗って朝食を食べる。母さんは僕の変化に気付いているようで、色々と聞きたがる。
「なんや最近楽しそうやね、淳」
「そう?」
一言返すだけでも、母さんは嬉しそうに微笑む。母さんの笑った顔を見ると安心する事にも最近気が付いた。
制服に着替えて髪を整える。君がアホ毛を可愛いと言ってくれたから、少し直さないで行くのは内緒だ。
今日の放課後、僕は名字さんの家に行くことになっている。名字さんと付き合い始めて3ヶ月くらいになる。季節はもうすっかり冬で、ただでさえくっ付きたくなる衝動に駆られる。そんな彼女に『今度、うちに来ない?』と言わせてしまったから、僕は凄く申し訳なくて絶対に大切にしようと誓った。
この僕が〝絶対〟なんて言葉を使う日が来るだなんて、自分でも不思議だ。
.
1/5ページ