Left behind
NAME CHANGE
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『もし…さ、このままずーっと電車が来なかったらどうする?』
私がそう聞くと、花形くんは少し驚いたようにしていたけれど、すぐにフッと優しく微笑んだ。
「来て欲しくないのか?」
『いや…このまま二人だけ取り残されちゃったら、どうなるのかなぁって』
すると、花形くんは私の手を覆うように手を重ねてきた。突然のことに、胸のドキドキが強くなる。
「それはそれで良いんじゃないか?俺は名前となら、どこでも生きていけるよ」
『わ、私も…同じ気持ちだよ』
私は花形くんの手を握り返した。すると花形くんのもう片方の手が私の顎をクイッと上げた。こうなると、目は自然と閉じてしまう。そして冷えた唇がそっと重なる。くっついた所がじわじわと熱を帯びてくる。
あぁ…もう……好き……。
唇が離れた後、愛おしそうに私を見つめる花形くんの表情はいつになっても見慣れなくて、ドキドキしてしまう。そう思っていることを見透かされているようで、何だか少し悔しい気もする。
「残念だな…」
『え…?な、何が?』
「キスした後の名前が可愛くてずっと見ていたいんだが…電車が来たようだ」
振り返ると、電車がゆっくりとホームに向かって来ていた。
『取り残されなかったね』
「そうだな。取り残されたかったか?」
『…少し』
私は電車に乗るためにベンチから立ち上がった。すると腕を引っ張られ、気付けば目の前にはまた大好きな花形くんの顔がある。
「もう一回、いいか?」
再び唇が重なる。
電車の音がどんどん近付いてくる。
唇が熱い…。
キスが終わると今度はギュッと抱き締められ、耳元でこう囁かれた。
「二人だけの世界に、少しでも長く……な」
『…花形くん、大好き』
「俺もだよ、名前」
電車が停まり、日常の世界に呼び戻すかのようにドアが開いた。
どんな世界でも、花形くんと一緒なら…。
そう思いながら、私たちは手を繋いで電車に乗り込んだ。
唇の熱は家に帰っても、冷めないままだった。
おわり
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