ブル大佐がお見合いをする話
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今日は恒例のブル大佐と触れ合う日(通称:大佐ふれあいDay)であり、南、岸本、土屋、名前は板倉家の広い庭に集まっていた。
ブル大佐は、すっかり名前に懐いていて、その様子を4人は微笑ましく眺めていた。
「皆さん、温かいお茶どうぞ」
「お、いつも悪いな板倉」
「いえ、ソースも楽しそうですし、自分も皆さんとゆっくり話せて楽しいです」
「お前はホンマ、上手い事懐に入り込むなぁ」
「僕も板倉くん好きやで。いつも美味しいお茶淹れてくれるし!」
いつに無くのんびりとした雰囲気に、全員が気を抜いていた。
なんて平和なのだろう。
こんなにも心穏やかに過ごせる日が来るだなんて…。秋のせいか、温かさを求めているのだろうか。
しかし、板倉の次の発言がそんな空気を断ち切ってしまう。
「実はですね、ソースにお見合いの話がきてるんですわ」
「…は?」 「えっ」 「わぁ〜」
一言ずつリアクションが出た後、全員の視線は一気に名前に向けられた。案の定、全く納得していない様子で板倉を凝視していた。
『ハァ〜ン?!お見合い…?大佐が?まだ世の中の酸いも甘いも知らん鼻垂れ小僧やのに…?』
「お前、それ褒めてへんやろが!」
名前はブル大佐をギュッと抱き寄せた。ブル大佐は嬉しそうに短い尻尾をムンムンと振って、喜びを表している。その姿を見た名前はキューンと胸を締め付けられ、口をへの字にして何かを噛み締めるようにしていた。
『ほれ!まだこないに甘えたやねんで?嫁なんて早い早い!』
「タチの悪い姑感、ハンパないな」
「そもそも犬のお見合いって、どないしてすんの?」
「まぁ、お見合い言うてもアレですわ。同じ犬種で血筋もええから子孫を残しましょうっちゅーことなんです」
板倉がお茶のおかわりを渡しながら土屋に言うと、またしても名前の目がギラリと光った。
『子孫…や…と…?子孫……仔犬……むっちむち……』
「おい名前!何をブツクサ言うとんねん」
「アホや。アイツ仔犬の誘惑に負けそうになっとる」
「名前てホンマおもろいなぁ。でも僕も大佐の仔犬は見てみたいわ」
岸本は溜息を吐いた後、名前とブル大佐の方へ向かった。そしてしゃがみ込んでブル大佐を撫でた。
「名前、大事なんはコイツの気持ちやろう?俺らが決める事とちゃう。コイツがええと思ったらええし、アカンと思ったらそれでええんちゃうの?」
岸本が諭すように言うと、名前はハッと気が付いたように顔を上げた。
『そう…やんな。私、大佐の気持ちなんて全然考えてへんかった…!』
「いや、アイツは見合いする事すら分かってへんやろ」
「南、今はちょっと黙っとこか」
岸本と名前の会話を聞きながら、南と土屋もツッコミをする。
名前の目から一粒の涙が溢れる。胸に抱えられたブル大佐は何かを察したのか、珍しく犬らしく「ワゥッ」と吠えた。(因みにいつもは「ボフン」)
『大佐、ゴメンなぁ。幸せになるんやで!』
ブル大佐はまた尻尾をムンムンと振って、ご機嫌のようだった。
「こないにソースの事、思ってくれはるなんて…名前さん、ホンマええ人やっ…!」
「いや、ちゃうやろ」
「南、もう黙っとこ?今日はもう話せない縛りしとこ?」
「……(へいへい)」
この茶番はいつまで続くのだろう…と、南は密かにそう思っていた。
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