明日も側にいられる。
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『まず最初は顔でした!!』
ハッキリと言うと、三井先輩はガクッと脱力し、ハァ…とため息を漏らす。
「顔が良くても、めちゃくちゃ悪い奴かもしんねーだろ。実際グレてたし…」
『先輩は悪い奴じゃないです』
「何でそう言い切れるんだよ」
『だって、ずーっとバスケ部の為に頑張ってきたじゃないですか。私、知ってますよ。先輩が自分の推薦の為だけじゃなく、後輩たちの為にバスケ部に残った事…』
「な…何でそれを…?」
『赤木晴子ちゃんに聞きました。晴子ちゃんは赤木先輩から聞いたそうです。私が三井先輩のこと好きって言ったら、何でも教えてくれるんです』
(あんのゴリラ兄妹め……余計な事言いやがって…)
三井先輩は少し黙った後、また私の方に視線を向けた。
「んで?何で俺が良いんだよ」
『優しいです。今だってこうして私の話を聞こうとしてくれてます』
私は気付いてしまった。これはもしかして、フラれる流れなんじゃないかと…。いつもならテキトーに遇らわれて終わりなのに、今日はこんなにも話をしてくれる。推薦も決まって、残りの高校生活には私は必要無いということか…?まぁでも、よく考えたら今まで散々アプローチしてきたけど、全部スルーされてきた。ここできっちりと終わりにする…あぁ…でも私、先輩のそういう所が好きなんだよなぁ…。それなら、こちらもきちんと受け止めなければ…。
『先輩、今までありがとうございました』
「は?」
『卒業までの残りの高校生活、楽しんで下さい。先輩に出会えて良かったです。それじゃ…』
走って行こうと三井先輩に背中を向けると、ガシッと手を掴まれた。
「ちょっと待てよ。お前、俺のこと好きなんじゃねーのかよ」
『……っ…好き…ですよ』
「それが、何でいきなり終わりみてーになってんだ」
『え…だって先輩が…』
訳が分からなくなり、私はもう一度先輩の方を振り向いた。すると、三井先輩の顔が真っ赤になっていた。
「推薦も決まったし、今日は俺からちゃんと言うつもりだったんだよ…」
『え?な、何を…?』
「気付いたら惚れてたんだよ、名前に…!」
三井先輩の言葉が音になって私の身体を突き抜けてゆく。自分の中にある三井先輩を想う気持ちとビリビリ共鳴し、身体が一気に火照るのを感じた。
「卒業しても、俺の側ウロチョロしてろよ。勝手に居なくなるな」
『だ、大丈夫です!得意ですから!』
「ブッ…何だよそれ」
三井先輩の表情が緩む。私の身体も心もふわふわと軽くなってゆく。
三井先輩は掴んだ手をそのままギュッと握り、歩き出した。
「今からお祝い、してくれるだろ?」
『は、はいっ!全力でしますっ!』
明日からも三井先輩の側にいられる。
これからは、彼女として。
繋いだ手が温かくて少し泣きそうになってしまったのは、三井先輩には言わないでおこう。
おわり
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