お母さんのいない夜
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その後、皿洗いを済ませ、お風呂に入れようと全員の服を脱がす。いざ!と風呂のドアを開けると浴槽の中は空っぽだった。
(お湯…入れるん忘れた…)
結局、お湯が沸くまでもう一度服を着せて待った。その後、お風呂上がりのハイテンションな子どもたちに服を着せ、髪を乾かし、お茶を飲ませる。そしてあっという間に寝る時間になり、歯磨きをさせて布団に入れた。
そして、布団に入ったのは良いものの…
(全っ然、寝えへん…!!)
いつもと違う状況だからか、子どもたちは興奮ぎみでなかなか寝付けなかった。ゴロゴロ転がったり、さっき見たテレビの話をしたりしている。
「お母さんはいつもどないして寝かせてくれるん?」
「えーっと…」
長男に聞くと、もじもじし始めた。すると次男が張り切って答える。
「ギューッてすんねんで!」
そういうことか…と南が納得すると、長女がメソメソし始めた。
「……おかあさん……うぅ…」
すると、長男が長女をギュッと抱き締める。
「大丈夫やで。朝起きたら、ちゃんとおるからな」
優しく諭すように話すその素振りは、名前によく似ていた。そして、妹に言い聞かせる長男の成長に感動すら覚えた。この長男が生まれた時から、自分は〝父親〟になった。長男の年齢と自分の父親年齢は同じなのだ。
(俺も、父ちゃんとして成長せなアカンなぁ…)
南は布団のど真ん中にドンッと両手を広げて寝た。その様子を子どもたちは不思議そうに見下ろす。
「よし、来い!!」
その言葉に子どもたちの表情は、ぱぁ〜っと明るくなる。長男が右腕、次男が左腕を枕のようにして寝転ぶ。長女は少し迷った後、南の胸に飛び付く。
「おとうちゃん、かたい〜」
「お母さんはもっとやわらかい」
次男と長男が楽しそうに言う。そして、長女も小さく、眠そうな声で呟く。
「あったかい…」
(あ……俺、今、すげー幸せかも…)
子どもたちもさすがに疲れたのか、その後すぐに寝てしまった。南は3人を起こさないようにそっと部屋を出た。
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