秋空に魅せられる
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結局、15分くらいで終わってしまったけれど、淳のあの笑顔に心がスーッと浄化されたような、そのくらい穏やかな気持ちになった。
「ゴメンな。ほな、行こか」
私たちは、バスケコートから少し離れた所に並んで座った。淳の額にじんわりと汗が滲んでいて、私はハンカチを差し出した。
『淳が凄い選手だったっていうの、何となく分かった気がする』
淳はハンカチを受け取り、ポンポンと押し付けるように汗を拭く。
「一応、高校最後は国体で大阪チームのキャプテンやってんで」
『えっ…!こ、国体?!それってかなり凄ない…?』
ハハハと笑う笑顔は、いつも以上にやっぱり爽やかだった。淳にこんな顔をさせるバスケにちょっと嫉妬してしまいそうになる。
『私の知らない、淳…やね』
「あ、ヤキモチや」
『だって…』
わざと口を尖らせてみると、淳はフッと微笑み、私の手を握った。
「ホンマ、かわいい。でも、名前にしか見せない僕の方が、圧倒的に多いと思うで」
『私、だけ?』
「うん。僕が全部をさらけ出せるのは、名前しかおらん」
そう言うと、淳は私を背後から包み込むように抱き締めた。
「空、綺麗やなぁ」
『うん。澄み渡ってる』
「たまにはええね。こういう爽やかなんも」
『いつもはどないなん?』
「もっとエッチでドロドロに溶け…」
『あー!もうええ、もうええ!台無しや』
淳の方に向き直すと、思ったよりも顔が近くにあってドキドキしてしまう。
「今、名前が何考えてるか当てたろか?」
『…うん』
「僕のことが好き、やろ?」
『…正解』
本当は、正解じゃない。
淳のことが〝大〟好き、と考えていたから。
まぁ今回はこの爽やか過ぎる秋の空に免じて、特別に正解にしてあげよう。また新しい彼を見せてくれた、高く青いこの空に感謝しなければ…。
そして私たちは、何の合図もなくそっと目を閉じ、唇を重ねた。
秋空に魅せられながら。
おわり
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