秋空に魅せられる
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翌日
私たちは本当に何の計画も無く、家を出た。何となく川の方に行ってみることになり、ブラブラと歩き始めた。
『あ、見て!あの木、ちょっと葉っぱが黄色になっとる』
「ホンマや。普段ここ通るけど、そんなん気付かんかったわ」
いつもの道なのに、心の持ち方でこんなにも見え方が変わるんだと思った。人間って都合の良いように出来ているなぁ…なんて思いながら歩いて行くと、河原に着いた。せっかくだから近くまで降りてみようということになった。すると、足元にコロコロとボールが転がってきた。咄嗟に淳が拾い上げると、それはバスケットのボールだった。
「すんませ〜ん!」
遠くから、中学生くらいの男の子が走ってこちらに向かってきている。その先には、バスケットコートがあった。
『こんな所にバスケできる所があったんやなぁ』
「……」
『淳…?』
返答の無い淳を見ると、ボールをジッと見ていた。そういえば、大学までバスケをしていたと言っていたような…。
「ボール、ありがとうございます」
男の子が取りに来ると、淳は何も言わずボールを渡した。
『淳もバスケしとってんな?』
「アツシ…?あっ…!大栄学園の土屋淳さんですよね?僕ら、大栄の附属中のバスケ部なんです!」
どうやらバスケをしている子たちは、淳の後輩らしい。凄い先輩がいたと今でも言われているということだった。
「俺、土屋さんのどこに出るのか読めないパスに憧れてて……コツとか教えて貰えませんかっ?」
その子が淳を見る目が凄くキラキラしていて、本当に心の底からそう思っていることが分かる。淳は少し迷っているようだけれど、こんな巡り合わせも早々無いことなのだから、楽しんでも良いのではないかと思う。
『淳、教えてあげたら?』
「でも、散歩の途中やし…」
『私、淳がバスケしとるトコ、見てみたい』
そう言うと、淳は男の子からボールをスッと取り上げた。
「ほな、ちょっとだけやで」
「あ…ありがとうございますっ!!」
こうして、淳と後輩たちはバスケを始めた。あの子が言うように、淳は予想しない方にパスを出す。私はバスケに全く詳しくないためよく分からない。けれど、淳が見たこともない子どもみたいな笑顔ではしゃいでいる姿が凄く眩しかった。青く高い秋晴れの空の下、キラキラと汗を輝かせ、髪を揺らす。シュートが決まり、ハイタッチをする時の笑顔が爽やか過ぎて、喉の奥がギューッと締め付けられるようだった。
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