秋空に魅せられる
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季節は秋
朝晩は少し冷えるけれど、日中は薄手の長袖一枚で出掛けられるくらいの心地良い季節だ。
ふと何気なく見ていたテレビで明日の天気予報が流れていた。
「明日はまさに秋晴れ、この連休は絶好の行楽日和となるでしょう」
行楽日和か…。私も淳も仕事が忙しく、休みの日は日用品を買いに出かけるか、インドアでゴロゴロダラダラして身体を休めることが多い。そんな私が〝ちょっと出掛けてみようか〟と今思っている。秋という季節の魔法なのだろうか。少し離れた所で本を読む淳にチラリと目線をやると、彼の視線は本では無くテレビに向けられていた。
「なあなあ、名前」
『ん?何?』
「連休やし、たまにはお出かけせえへん?」
まさかの言葉が彼の口から出た。驚きと喜びが一気に押し寄せる。
『わ、私も今おんなじこと考えとった…!』
そう言うと淳は一瞬ポカンとした後、ニコーッと可愛らしい笑顔を見せた。
「ホンマ?ほな、どこ行く?」
『んー、そうやなぁ…』
私は少し考えたが、特段行きたい場所がある訳では無かった。何故なら、淳と秋晴れの空の下をただちょっと歩きたいと思っただけだったからだ。
『…散歩がしたい』
「え?」
『私、淳と一緒に時間に追われずにただブラブラ歩きたい』
正直に言うと、淳は愛おしそうに目を細めた。そして私の横に来て、そっと頭を撫でた。
「ええやん、ソレ。ほな、お散歩しよか」
『やった!めっちゃ楽しみ』
「…ホンマ、かわいいな」
淳がそっと私の頬に触れる。
付き合い始めてからは本当に表情が豊かになった。こんな顔もするんだ、と思うことが増えたのと、たぶん今こんなこと考えてるな、とさらに分かるようになってきた。毎日、新しい淳を知れて嬉しい。そしてきっと今は〝ちゅーしたい〟と思っているはずだ。
「…ちゅーしたいって思ってるって思ってるやろ?」
今度はイタズラっぽく笑う淳にドキッとしてしまう。
『お互い考えてることが筒抜けやな。何でやろう。ホンマ不思議』
「何でか、僕分かるで。それは…」
『それは…?』
「お互い、大好きやから」
一気に自分の頬がカーッと紅くなるのが分かった。そして、そう言えば私がこういう反応をするのも予測しての言葉だったのだと思うと、何だか悔しかった。
『ズルイ…』
「え?何て?」
『ううん。淳、大好き』
ギュッと抱き付くと、淳は優しく抱き締め返してくれた。長い腕に私はすっぽりと包まれてしまう。付き合う前のことを思うと、こんなに仲良しカップルになるだなんて想像出来なかった。色々あったけれど私は今、淳と一緒にいられて幸せだ。
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