お父ちゃんの誕生日
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その夜
子どもたちが寝た後、南と名前はビールを飲みながらソファに座り、テレビを見ていた。
『なんか、あぁやって自分らで考えてサプライズっぽいことするようになったんやなぁって思うと、子どもってホンマによう見とるし、ちゃんと成長してんねんなぁって思うわ』
「そうやな。まさか俺の誕生日を覚えてて、しかも何かしようとすんのはホンマに意外や」
名前は少し南に近付いた。
『意外ではないよ。あの子ら皆、烈のこと大好きやもん。大好きな人の誕生日を祝いたいのは当たり前のことや。私はそういう当たり前のことができるようになったことが嬉しい』
「…きっと、あっという間に大きなんねんなぁ」
『そうやで。彼女とか彼氏とかできたら、烈そっちのけで遊びに行ったりするんちゃう?』
「…まぁ、それはそれでええやろ」
『寂しないの?』
名前が言うと、南は名前の肩を抱き、引き寄せた。
「俺には、お前がおるやろ」
南は名前の耳にチュッと音を立ててキスをした。
『おるよ。ずーっと一緒や』
名前も南の耳にキスを落とした。微笑み合い、視線が交わる。
『…好き』
愛しくて堪らない南は、そのまま名前を押し倒した。すぐに足の間に自らの足を挟み、体制を整える。
『烈ぃ…ゴメン…今日、アレの日やねん』
名前が言うと、南の動きがピタリと止まる。そして腕を引き、名前を起き上がらせた。
「スマン」
『ううん。誕生日までオアズケやな』
名前は南の肩にもたれながら、再びテレビを見始めた。南も名前の腰に腕を回し、ビールをグッと飲んだ。
南は思った。
かつて〝エースキラー〟と呼ばれていたあの頃は、自分たち以外の人間は誰も信用出来なかった。部活を引退しても、その事実は消えない。しかし、そのことを否定せず、受け入れてくれたのは仲間以外では名前だけだった。その名前と恋に落ち、紆余曲折あって結婚し、3人も子どもを産んでくれた。そして3人とも明るく元気に成長している。
かつての葛藤を全て包み込んでしまうくらい、幸せだと。
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