所謂、ギャップというやつ
NAME CHANGE
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『ハァ…』
つい、ため息が出てしまった。でも今日だけは仕方ない。
今度の休みに、友だちと新しく出来たカフェに行く約束をしていた。そこはケーキの種類が豊富で、お手頃価格で、しかもめちゃくちゃ美味しいらしい。中間テストを終えて、頑張ったご褒美に行くことになっていて、席も予約していた。しかし、友だちは家の都合でどうしても無理になってしまったそうだ。カフェに行くことを楽しみにテストを頑張ったのに…。でも、一人で行く勇気は無い。それに友だちの都合がつく日に改めれば良いだけのことだ。分かってはいるけれど、楽しみにしていただけに気持ちの落ち込みは大きかった。そういう訳で私は廊下の窓にもたれ、ため息を漏らしていた。
「おい」
何か声がした気がしたけれど、まぁ私を呼んだのではないだろう。私はケーキに思いを馳せながらぼんやりと外の景色を見ていた。
「おい、名字」
あれ?呼ばれていたのは私だったようだ。今は一人になりたいのに…。仕方なく、私は声がする方を向いた。
「何ぼーっとしてんだよ。さっきここ通った時も見たけど、まだいたのかよ」
声の主は同じクラスの藤真だった。藤真はバスケ部のキャプテンで、王子様みたいなキラキラな見た目とオーラの持ち主だ。故に学校内外ではちょっとした有名人であり、誰が告ったとか、誰がフラれたとか、そんな話が日常的に飛び交っている。私が思う藤真は、見た目から勝手なイメージを持たれがちだが、周りが騒ぐような王子様のような人物ではなく、どちらかと言うと泥くさいというか、男っぽい印象だ。
『私だって、たまには落ち込んだりもするんだよ』
「何かあったのかよ」
藤真は私の横に立ち、同じように窓の外を眺めた。並ぶと見上げなければ顔が見えない。いつも思うが、藤真の横顔は凄く綺麗だ。もしかしたら、私より睫毛が長いかもしれない。
『まぁ、ちょっと…ね』
「言ってみろよ」
『えっ…』
「聞くだけ聞いてやるよ」
藤真は凄く真剣に言った。その表情から、からかうような気持ちは無いことが伝わる。
『実は──』
私は藤真に事の経緯を話した。そして話始めて10秒くらいで、藤真の表情はみるみる呆れ顔に変わっていった。
「何だよそれ……お前、そんなことで落ち込むなよ」
『だ、だって…その為にめちゃくちゃテスト勉強頑張ったんだよ?!』
「ハァ……いつ予約してんだよ」
『…に、日曜日の14時半』
一瞬、何か考えたのか動きが止まった藤真は、身体の向きを変えて私の方を向いた。
「仕方ねーな。俺が一緒に行ってやるよ」
『えっ……で、でも…』
「14時に駅集合な」
そう言って、藤真は行ってしまった。
突然のことで、頭が整理できない。けれど、あのカフェに予定通り行けることに変わりはない。
もういいや。素直に喜ぼう。
『藤真ー!ありがとー!』
真っ直ぐな廊下の先で、藤真の手が片方だけスッと上がった。
.
1/5ページ
