綺麗な世界


湘北戦で接触があり、眼鏡を思いきり落としてしまった。大丈夫かと思うが歪みが無いか見て貰うため、休日に眼鏡屋へ行くことにした。今の眼鏡を買ったのは高校に入った時だから、もう3年目になる。その間、特に視力が下がっていないため眼鏡屋に行く事は無かった。

既に来たことさえうろ覚えの小さな眼鏡屋に入る。たくさんの眼鏡がディスプレイされていて、レンズに光が反射がし、眩しかった。


『いらっしゃいませ』


奥の方からカジュアルな服装の女性が出てきた。20代前半といったところだろうか。金属縁のレンズの大きい眼鏡をかけている。眼鏡屋の店員は何となくスーツを着て、カッチリした人のイメージが強かったため、意外だった。そもそも以前来た時は、お爺さんが1人でやっていたような…?ぼんやりと考えていると、店員は不思議そうに俺の顔を覗いた。


『あの…本日はどのような…?』

「あっ…すみません。実は──」


俺は眼鏡を見て欲しいことを話した。


『分かりました。見ますね。そちらに掛けてお待ち下さい』


店員はニッコリと笑い、拡大鏡のような物を使って眼鏡を見始めた。そして、そのまま話を続けた。


『部活は何をされてるんですか?』

「バスケットです」

『へー!身長高いですもんね』


口ではそう言っているが、目は真剣にレンズを覗いている。こういう職人のような仕事は自分には向いていない気がするため、素直に凄いと思った。



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