14:自分の為のハイヒール
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それから、皆で色々な話をした。
岸本さんの小さい頃の話、南さんと番長さんの馴れ初め、私の地元の話など…楽しくて、とにかくずっと笑っていた気がする。
「名字さん、一緒にたこ焼き焼かへん?」
『あ!ハイ!焼きましょう!』
「ほな、岸本くんと南くんは男同士、語り合っとってなぁ」
「おっしゃ!語るで!南!」
「止めろや、暑苦しい」
ギャーギャー騒ぐ二人を後目に、私は番長さんと厨房に向かった。
「ね、コレ入れよ!」
そう言って番長さんが取り出したのはカリカリ梅だった。しかも、結構大きい。
『えっ…!コレ上手く中に収められるかな…』
「大丈夫、大丈夫!どっちが当たるか楽しみやなぁ〜」
番長さんは落ち着いた人なんだと思っていたけれど、こんなお茶目な一面があることが微笑ましかった。南さんもそういう所に惹かれたのだろうか。本当に二人はお互いを想い合っていることがよく分かる。
そして何個か焼き終え、お皿に盛り付けた。カリカリ梅の入った物だけ明らかに大きかったけれど、番長さんは大丈夫だと言った。本当かなぁ…そう思いながら私はテーブルにお皿を置いた。
「おっ!何やコレ!めっちゃデカない?俺、コレにするっ!」
私の予想を見事に裏切り、岸本さんはカリカリ梅入りのたこ焼きを取った。そしてパクッと頬張った途端、ガリッという音が響く。
「ん?!番長!何入れた?!うわ、酸っぱ!!」
「何で私が入れたって決めつけんのよ」
「こんなんすんの、番長くらいやろうが!うわ、梅か…?ん…意外とイケるな…」
カリカリと音を立てながら、岸本さんはたこ焼きを食べている。
「明らかにデカくて怪しかったやろ。お前ホンマ、アホやな」
「南、笑いは自分から取りに行くもんやで」
岸本さんは種を出し、お酒をグビッと飲んだ。そしてグラスを置いた後、スッと立ち上がった。
「よっしゃ!次は俺が作ってくる!!」
「お前、ちゃんと食えるモン入れや」
「当たり前やろボケ!」
岸本さんは意気込んで厨房に向かった。私は一連のことがおかしくて、ずっと笑っていた。こんなに笑ったのは、いつぶりだろう。
「名字さん、飲も飲も!」
『あ、うん!』
こんな風に心から楽しいと思えるのは、全部岸本さんに出会えたからだ。そう思うと、何だか胸が熱くなった。
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