14:自分の為のハイヒール
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岸本さんは白のTシャツにカーキのセットアップを合わせていた。靴も私のワンピースと同じ深いグリーンの革靴で、相変わらず凄くお洒落だ。何より、いつもよりかっこ良くて、どんどん胸の鼓動が速くなるのを感じた。
『岸本さん、今日は招待してくれてありがとう』
「……」
『岸本、さん…?』
岸本さんは何も言わず、ジッと私を見ている。もしかして、何かおかしな所があるのだろうか?それとも、グリーンが被ってしまったのがいけなかったのだろうか…?
「何や、お前らもペアやん」
「ホンマや。しかも打ち合わせ無しで、やろ?えらい気が合うなぁ」
南さんと番長さんにそう言われ、私と岸本さんは少し照れながら笑い合った。偶然だけど、嬉しい。
『素敵なお店だね』
「ここ、俺の行き付けやねん。今日はマスターが用事で臨時休業やねんけど、好きに使てええっちゅーことで、借りてん」
こんなお洒落なお店が行き付けだなんて、やっぱり岸本さんはお洒落な人なんだなと思った。でも、そういうのを鼻に掛けていない所が良いところだと思う。
「ほな、始めよか。もう焼き始めたから、どんどん食べてや。あ!それから、今日はビールだろうがシャンパンだろうが焼酎だろうが、必ずワイングラスで飲んでや」
「何でやねん。ええやんけ、何使ても」
「アカン、アカン!今日はとびきり洒落とるたこ焼きパーティーなんやからな!」
岸本さんのそういう貫く所、好きだなぁ…なんて考えていた。そして、なんだかんだ言っても南さんは岸本さんの言う通りにワイングラスを使っている。二人が幼い頃からずっと仲良しなのも、何となく分かった気がした。
「名字さん、何飲む?」
『あっ…じゃあビールで』
番長さんにビールを注いで貰い、全員がグラスを手にした。
「ほな、今日は楽しんでや!乾杯っ!」
「「『乾杯』」」
カツンッとグラスがぶつかる音が心地良く響く。ビールが喉を流れてゆく。こんなに美味しいお酒を飲むのは、久しぶりだった。
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