12:インステップ
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『…いつも私に冷たい態度で、ろくに会話もしないじゃん。私といる意味なんてない…よね…?何で…?』
震える手をグッと握り締めながら、勇気を振り絞って声に出した。今まで彼氏にこんな風に自分の意見を投げかけたことなんて、思えば無かったような気がする。彼に嫌われたくない一心で、無意識に耐えてきたんだとようやく気が付いた。
彼は気まずそうに俯いたまま、ジッと動かない。何か言えないことがあるのか、それとも単に言い訳を考えているのか…。
暫くするとグッと唇を噛み、ようやく口を開いた。
「一緒に住んでたら、何かもう家族っていうか…当たり前みたいになってて……色々してくれたのに…本当にごめん」
『違うよ』
「え…?」
『家事のことじゃないよ。家事をあなたにして貰おうだなんて思ってない。いつも仕事だって言って出掛けて会ってた人のことだよ』
彼氏は驚いたようで、バッと顔を上げて私を見た。
「…さっきの電話…どこから聞いてた…?」
『どこって……全部だよ。ややこしいから、私とはセックスしないんでしょう…?』
全てを聞かれていると思わなかったのか、彼氏はガックリと頭を下げた。人間って落ち込むと、漫画みたいに放心状態になるんだな…と思えるくらい、冷静になれていた。その点は、正直自分でも驚いている。
そこから暫く項垂れる彼氏を、ただジッと見ていた。あんなにかっこ良くてキラキラして見えていたのに、今ではそれが幻だったかのように霞んで見える。
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