11:ベアーフット
NAME CHANGE
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
私は、彼が電話を終えたのを確認し、そっと肩に手を置いた。
「…っ!!」
彼は声を出さなかったが、いきなり肩に触れられて驚いたのだろう。身体の向きを変えた途端、手を振り払われた。その勢いが思った以上に強く、私は突き飛ばされた。床に膝をつくまでの間、スローモーションのようにゆっくりと自分が一瞬宙に浮き、落下していくのが分かった。
『うわぁっ!!』
ドンッ!!!と、マヌケな声と大きくて鈍い音を立てて身体が崩れ落ちていった。彼は驚いたのと、電話を聞かれたことに気が付いているようで、ただ呆然と立ち尽くしている。私も立ち上がることが出来なかった。そして少し沈黙が続いた後、私は自然と声を漏らしてしまう。
『…酷いよ。何で……?』
彼は目を合わせず、下を向いたまま動かない。何でそっちが悲しそうな顔をするの…?悲しいのはこっちなのに…。彼の姿にムッとし、彼を問い詰めようとしたその時だった。
バンッ!!
「名字さん!無事か?!」
大きな音とともに、岸本さんがベランダに現れた。どうやら非常扉を突き破ってきたらしい。
『岸本…さん…』
「え…何だよ、お前!何勝手に入って来てんだよ」
彼氏は驚きながらも、突然のことに動揺しているようだ。
「俺は、このマンションの大家や。マンションで起こった揉め事は見逃す訳にいかんねん」
その言葉に彼氏は驚いているようで、再び何も言えなくなっていた。
(岸本さん…どうしてこんなことまで……)
岸本さんは、ただ真っ直ぐに彼氏を睨みつけている。
その表情は見たことが無い程、真剣だった。
今日はきっと、私の人生の分岐点になる。
そう思い、私はゆっくりと立ち上がった。
続く