11:ベアーフット
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玄関を出た所で彼に抱き締められた後、家の中に促されて何となく入ってしまった。さすがに彼もバツが悪いのか、気まずそうにしている。このまま話し合うにしても、少し空気を変えなければならないと思った。
『あの…目が腫れてるから顔洗って来て良いかな。ついでにお風呂にも入っちゃうね』
「分かった」
私は一瞬、彼の表情が緩んだのを見逃さなかった。そして洗面台でふと鏡に映る彼を見ると、既に携帯をいじっている。
私はお風呂のシャワーを出しっぱなしにして、脱衣所のドアをほんの少しだけ開け、彼を少し観察することにした。
彼は携帯を耳に当てた。誰かに電話するのだろうか。
「あ、もしもし?悪い、今日行けなくなった」
言葉使いから、仕事の電話ではないことが分かる。私は気付かれないよう、ジッと身を潜めた。
「アイツ怒っちゃってさ。拗ねられると厄介だろ?家がいつも綺麗で飯が出てきて、洗濯もして貰えるんだぜ?それで生活費折半だぞ?最高だろ?」
(え……?)
「あ?セックス?それは無い無い。だってそれ関連は万が一があったらややこしいだろ。…あ?お前だけだって。そんなの言わせんなって」
私の中でギリギリ繋がっていた物がちっとも音を立てることなく、はらりと千切れた。
私は静かにドアを開け、彼の方へ向かった。彼は背中を向けているため気が付いていない。いつもベッドで向けられているその背中が、こんなにも薄っぺらく感じたのは初めてだった。ペタペタと裸足でフローリングを歩く。この時は何故かいつもの冷んやりとした感覚は無かった。
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