10:ベランダ用のダサいサンダル
NAME CHANGE
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
数時間後
目が覚めると、ソファの上だった。どうやらあのまま寝てしまったらしい。今日は酷く疲れていた。もしかしたら、さっきのことは悪い夢だったのかもしれない…そう思い起き上がるとあのシャツがグシャグシャになってソファの上にあった。やはり、夢では無かったらしい。こんな風に気持ちが沈むだなんて、俺はやっぱり名字さんが好きなんだ、と改めて実感した。
一緒に外で朝食を食べたこと。
ヒールが痛くて、脱いで裸足で帰ったこと。
目を腫らして、誕生日ケーキを持ってきたこと。
南と番長を羨ましそうに見つめていたこと。
たこ焼きを食べて、泣いてお礼を言ってくれたこと。
繋いだ小さな手のぬくもりが、忘れられないこと。
もうこの想いは止まらない。例え今日みたいに躓いたとしても…。ここでまた、番長のあの言葉が頭をよぎった。
「岸本くん、好きなら振り向かせたらええやん。岸本くんの為にも、名字さんの為にも」
さぁ、どうする、俺……。
俺は少し風に当たろうと、ベランダに出た。少し肌寒いが、今の俺には丁度良いくらいだ。ベランダ用のダサいサンダルが冷え切っていて、スーッと身体に冷たさが染みる。
すると、隣りの名字さんの部屋から話し声が聞こえてきた。どうやら窓を開けているらしい。ほとんど会話もしないと言っていたが、もしかしてさっきのこともあるし、色々と話をしているのかもしれない。このまま元の鞘におさまる…なんてことになるのだろうか。無意識にハァ…とため息が漏れ、柄にもないことで驚いた。
『うわぁっ!!』
ドンッ!!!
突然、叫び声と大きな音がした。
「お前、何してんだよ!!!」
今度は男の怒鳴り声がする。
これは、ただ事ではない。
そして、俺の身体はまた無意識に動き始めていた。
続く