10:ベランダ用のダサいサンダル
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さっきのは何だったのだろう…。
仕事を終え、マンションのエレベーターを降りると、何やら人影が見えた。そしてそれが名字さんとおそらく彼氏だということはすぐに分かった。二人は玄関を出てすぐの所で抱き合っている。一体何があったのかよく分からないが、俺は咄嗟に死角に隠れた。
「…俺には、お前が必要なんだよ」
彼氏が名字さんを抱き締めながら、低く甘い声で言った。そして、そう言われた時の名字さんの驚いたような、安心したような表情が頭から離れない。そんな顔もするんだな…と思った。
あの場面をどう捉えるべきか分からない。
名字さんが彼氏と上手くいったなら、良かった?
俺は名字さんが好きだって、気付いたのに…?
毎日、笑わせると決めたのに…?
とてもじゃないが、良かったとは思えなかった。
ふと、名字さんがボタンをつけてくれたシャツが視界に入った。綺麗にキッチリとつけられたボタンが今は凄く哀しみを帯びて見える。俺はそっとボタンに触れ、せっかく皺をのばして干していたシャツをグシャグシャにして抱き締めた。色んな感情が渦巻き、どうすれば良いのか分からず、暫くそのまま動け無かった。
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