08:ブラウンのショートブーツ
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「ほい、到着!」
『え、もう?!あ…ここって…』
着いた場所は、早朝ピクニックをした公園だった。そして岸本さんはベンチに座り、大きなバックから何やら出し始めた。
「名字さんも座ってや」
ポンポンとベンチを叩き、座るように促された。そして座ると同時に小さな容器を渡された。
『これは…?』
「開けてみ」
蓋を開けると、中にはビッシリとたこ焼きが詰められていた。
『えっ…コレ、岸本さんが作ったの?!』
「そうやで。プロ級やろ?あ、ちゃんとソースとか持って来とるから、好きにかけて食べてな」
岸本さんはバックからソースやマヨネーズ、青海苔、カツオなど出した。
「ボタンのお礼と、この前の朝飯のお返しも兼ねてやな。あの外で食った朝飯が忘れらへんくらい美味くて、また外で食いたなってん」
『お礼を言うのはこっちだよ。あの時は本当に助かった』
「さあさあ、早よ食べてみてや」
『いただきます!』
爪楊枝にたこ焼きを刺し、私は一口で頬張った。
凄く美味しくて、凄く嬉しくて、凄く優しかった。
色んな思いがこみ上げてきて、モグモグと口を動かしながら、目の前が涙で滲み、頬を伝うのが分かった。
『……グスッ……何コレぇ……美味し過ぎ…っ…』
爪楊枝を別のたこ焼きに刺し、涙を拭こうとハンカチに手を伸ばそうとしたその時、岸本さんが私のその手をギュッと握った。
「………ホンマに今の彼氏とおって、名字さんが幸せなんか、心配になる」
『えっ…?』
「俺なら、毎日笑かしたる。俺なら、そんな顔させへん」
真剣に目を見て岸本さんは言った。そして所謂恋人繋ぎになるように、指を絡めて握り返した。
岸本さんの触れた所が熱い…。
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