06:北欧テイストのスリッパ
彼氏は誕生日の翌日帰って来て、また一言「ゴメン」とだけ言った。もうワンパターン過ぎる展開で、逆に考えると彼には本当に悪意は無いのではないかと思った。だから私も特に感情的になることは無く、用意したプレゼントだけを渡して終えた。
そして、それから数日が経った。
彼氏とは相変わらずだったけれど、あの夜、南さんと番長さんを見ていて、私の気持ちの持ち方が少し変わった。
特別なことなんてしなくても、日々の生活の中で好きという気持ちや感謝の気持ちを伝えることの方が大事なんだ。だからそれからは少しのことでも〝ありがとう〟と伝えるように心がけている。
そして番長さんと連絡先を交換し、メッセージのやりとりをするようになった。社会人になってから新しくできる友だちだなんて、早々ないことだし、何より番長さんは自分の考えをハッキリと言い切ることができる、私とは真逆の人だった。一つ年下だけど、凄く頼れて安心出来た。
番長さんは、岸本さんの昔の話を色々と教えてくれたりする。面白い話ばかりでメッセージを見る度にクスリと笑えてしまう。今、リビングで洗濯物を畳んでいる途中にきたメッセージにも〝南くんは岸本くんを赤点大王って呼んでた〟とあり、思わずプッと吹き出してしまう。南さんって怖そうな感じだったけれど、面白い人なんだなと思った。
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