05:チャコールグレーのスリッパ
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それから、4人で色々な話をした。
その中でも、番長さんと南さんが付き合って6年だということが驚きだった。というか、6年経っても凄くお互いを想い合っていることが感じられる場面が多々あった。
番長さんが話す時、南さんの表情は優しく緩む。
南さんが話す時、番長さんは本当に楽しそうに聞いている。
お互い本当に好き同士で、思いやりを持って接していることが痛いくらいに感じられた。
長く付き合っても、慣れ過ぎても、お互いを大事に想える関係って、できるんだ…。
そして、私は気が付いた。私は何か特別なことばかりしようとしていたけれど、番長さんたちのように日常の当たり前の中に幸せを見つけることが大切なんだと。それが分かると、凄く気持ちが軽くなった。
「さて、そろそろお開きにしよか。皆、ありがとうな」
「名字さん、またお話しましょうね」
『はい、是非』
「番長、良かったやん。友だちができて。俺のおかげやぞ」
「ホンマや。岸本くん、ありがとさん」
岸本さんも2人が大好きなんだというのが凄く分かった。楽しそうにしているのを見ていると、南さんが私の前にスッと現れた。
「アイツはアホやけど、仲良うしたって下さい。アホやけど」
『あっ…は、はいっ!』
「おい、南!アホは余計じゃ。しかも2回言うたやろ!」
「あ?気のせいやろ」
本当に仲が良くて、羨ましかった。最悪の日になるはずだった今日、こんな素敵な出会いがあるだなんて思いもしなかった。
全部、岸本さんのおかげだ。
『岸本さん、今日は本当にありがとう』
「おー。また集まろな」
岸本さんは、少し心配そうに微笑んでいた。
自分の部屋に戻ると、日付が変わっていた。
彼の誕生日が終わってしまった。
でも、数時間前の絶望が嘘のように消えていた。
(もう少しだけ、頑張れる気がする…)
そう心の中で呟き、私はすぐに眠りについた。
続く