Run & Bullish
NAME CHANGE
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幼稚園に着くと、既にたくさんの人が来ていた。皆、映像におさめるためのポジション取りに全力を注いでいる。
「わざわざ幼稚園が撮ってDVDにする言うとんやから、しっかり見てやったらええのになぁ」
南は「アホらし」と言わんばかりに辺りを見渡してそう言った。名前は南のこういう所が好きだな、と思いながらその横顔を見ていた。
(はっ…!いかん、いかん!烈に見惚れてたら何言われるか分からん…!)
名前は慌てて南の方から顔を背け、レジャーシートを広げて子どもたちを座らせた。
運動会が始まり、園児たちが音楽に合わせて入場門から行進して来る。次男の年中クラスも入ってきた。
「あ!おった!あにきー!」
長女は次男を何故か〝あにき〟と呼ぶ。周りはクスクスと笑っていた。
次男は一生懸命腕を振り、元気に行進している。きっとたくさん練習したのだろう。もはやその姿を見るだけで、名前は涙が出そうになる。園庭を一周するため、近くになると次男にも家族がどこにいるか分かったようだ。そして、スッと手を上げたかと思うと…
「あ!おとうちゃん!来とるやん!」
大きな声で叫び、ブンブンとこちらに向かって手を振っている。そして周りの視線は一気に南に向けられた。
「えっ…あれが……くんのパパ?」
「初めて見たかも」
「結構男前やん…」
次男は兄妹の中でも南のことが大好きで、それ故の行動だが、またしても周りの注目を浴びてしまう。
「アイツ何してんねん。ホンマ、アホやなぁ」
そう言いながらも南は嬉しそうにし、次男にヒラヒラと手を振っていた。一方、名前は気が気でなかった。
(ひぃぃぃ…意図せず烈が目立っとる…)
さすがに動揺を隠せずにいると、長男が気付いたようで声を掛けた。
「お母さん、どうしたん?」
『あっ…ううん!ちょっと感動してもーて…』
こんな風に笑って誤魔化すしか無く、情けなかった。その後、運動会は滞りなく進行していった。
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