若さと勢いを形に残す話
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ドトボが人間の生活にだいぶ慣れてきたある日、二人はドトボの服を買いに行くことにした。街に出るのが初めてのドトボは、物凄く浮かれていた。また顔には出さないが、南も同じだった。
全てが珍しいドトボはキョロキョロしっ放しだった。赤信号が青に変わったが、気付いていない。南が先に歩き出し、慌てて着いて行く。すると、交差点を右折しようとしてくるバイクがいた。南が横断歩道を渡り切る前に横切ろうとしているようだが、南は止まるだろうと思っているのかどんどん進んで行く。スピードを落とさないバイクが南に気付き、急ブレーキを掛けた。
キィーーーーッ!!
耳に残るブレーキ音が響く。そして次に南が見た光景は、脚がおかしな方向に曲がり、血を流しているドトボだった。
「おい!ドトボ!しっかりせぇ!」
「烈…くん…怪我…してへん?」
「いいから、喋んな!今、救急車呼んで貰うから」
「アカンよ…私は…プードルやから……」
南は泣きながらドトボを担ぎ、道頓堀川に向かった。
よく遊んでいた場所に辿り着くと、ぼんやりと紫色の光が見えてきた。そしてそこから、気味の悪い女の顔が見えた。
「よくも私が授けた大事な身体に傷をつけたな…」
その女は怒りに震え、歯を食いしばっている。どうやらドトボと契約した魔女のようだ。
「頼む!ドトボの足を元に戻してやってくれ!」
「私との契約は、それ相応の物と交換でなければならないぞ。…ん?よく見るとお前、なかなかの男前じゃないか。それなら……」
気付けばドトボはいつもの河原に寝ていた。足は何ともなく、元に戻っていた。そして、南の姿が見当たらない。
「烈くん…?どこ…?」
「ワンッ」
ふと傍らにフレンチブルドッグが座っており、静かに吠えた。その姿を見て、ドトボは目を見開く。額の毛が真っ直ぐに切り揃えられたかのようになっていたのである。
「…烈くん…な…んで…」
南は魔女と契約し、自分の身体と引き換えにドトボの足を治して貰ったのだった。
そう、前髪以外の全てと引き換えに…。
道頓堀川はこの奇妙な愛の物語を乗せ、今日も緩やかに海へと流れてゆく。
完
.
全てが珍しいドトボはキョロキョロしっ放しだった。赤信号が青に変わったが、気付いていない。南が先に歩き出し、慌てて着いて行く。すると、交差点を右折しようとしてくるバイクがいた。南が横断歩道を渡り切る前に横切ろうとしているようだが、南は止まるだろうと思っているのかどんどん進んで行く。スピードを落とさないバイクが南に気付き、急ブレーキを掛けた。
キィーーーーッ!!
耳に残るブレーキ音が響く。そして次に南が見た光景は、脚がおかしな方向に曲がり、血を流しているドトボだった。
「おい!ドトボ!しっかりせぇ!」
「烈…くん…怪我…してへん?」
「いいから、喋んな!今、救急車呼んで貰うから」
「アカンよ…私は…プードルやから……」
南は泣きながらドトボを担ぎ、道頓堀川に向かった。
よく遊んでいた場所に辿り着くと、ぼんやりと紫色の光が見えてきた。そしてそこから、気味の悪い女の顔が見えた。
「よくも私が授けた大事な身体に傷をつけたな…」
その女は怒りに震え、歯を食いしばっている。どうやらドトボと契約した魔女のようだ。
「頼む!ドトボの足を元に戻してやってくれ!」
「私との契約は、それ相応の物と交換でなければならないぞ。…ん?よく見るとお前、なかなかの男前じゃないか。それなら……」
気付けばドトボはいつもの河原に寝ていた。足は何ともなく、元に戻っていた。そして、南の姿が見当たらない。
「烈くん…?どこ…?」
「ワンッ」
ふと傍らにフレンチブルドッグが座っており、静かに吠えた。その姿を見て、ドトボは目を見開く。額の毛が真っ直ぐに切り揃えられたかのようになっていたのである。
「…烈くん…な…んで…」
南は魔女と契約し、自分の身体と引き換えにドトボの足を治して貰ったのだった。
そう、前髪以外の全てと引き換えに…。
道頓堀川はこの奇妙な愛の物語を乗せ、今日も緩やかに海へと流れてゆく。
完
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