若さと勢いを形に残す話
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(この川、どこで海と交わるんやろ…)
人生に疲れた南烈は、多くの人々が行き交う道頓堀川をただぼんやりと眺めていた。すると、何かふわふわしたものが川縁を歩いている。気になった南は近くまで行ってみることにした。
(確かこの辺やったよな…)
キョロキョロと見渡すと、ようやくふわふわの生き物を発見した。野生のプードルだった。警戒しているのか、あまり近寄って来ない。南は持っていたパンをプードルに差し出した。するとジワジワと近付いて来て、パクッと食べた。美味しかったのかガツガツと食べ始め、あっという間に無くなってしまった。
「腹減っとったんか。お前、一人なんか?俺と一緒やなぁ」
微笑みながらそう言うと、プードルは南への警戒が解けたのか尻尾を振ってワンッ!と吠えた。
「ハハ…よし、俺たちは今日から仲間や。名前つけんとなぁ。…よし道頓堀におったから〝ドトボ〟やな。今からお前はドトボやぞ!」
それから南は毎日仕事終わりに川へ行ってはドトボと過ごし、パンを分け合って食べたり、ボールを投げたりして遊んで過ごした。そんな日々を過ごす中、南がふと言葉にしたことがある。
「ドトボを家に連れて行きたいねんけど、俺んちペット禁止やねん…。なんぼ何でも人間ですって言われへんしなぁ…スマンなぁ…」
南は申し訳なさそうにドトボを撫でた。ドトボは何か訴えたそうに、ただジッと南を見ていた。
翌日
いつもと同じように南はドトボの元へ向かった。しかし、どこにも見当たらない。もしかしたらパンを出したら匂いにつられて来るかもしれない…そう思い、袋に手を掛けたその時だった…。
「烈くん…」
ふと声がした方を見ると、綺麗な女性が立っていた。全く知らない人物だったが、美しいそのウェーブの髪を見て、南は思わず声を漏らす。
「もしかして…ドトボ…か…?」
「私のこと、分かるん?めっちゃ嬉しい…!私な、魔女と契約して人間の身体にして貰ってん」
「契約…?」
「頭部以外、あのふわふわの毛を全部渡してん」
道理でワンピースからスラリとのびる手足が美しい訳だ…と南は思った。
「烈くん…私、人間になったよ。だから、連れて帰って…?」
ドトボの真剣な眼差しは、昨日のそれと同じだった。南は黙ってドトボの手を引き、家に帰った。
それからというもの、疲れていた南の人生が一気に華やいだ。仕事から帰れば、プードルだった頃のように飛びついてきて、じゃれ合う。一緒に食べるご飯が美味しくて、ただそれだけで幸せだった。
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人生に疲れた南烈は、多くの人々が行き交う道頓堀川をただぼんやりと眺めていた。すると、何かふわふわしたものが川縁を歩いている。気になった南は近くまで行ってみることにした。
(確かこの辺やったよな…)
キョロキョロと見渡すと、ようやくふわふわの生き物を発見した。野生のプードルだった。警戒しているのか、あまり近寄って来ない。南は持っていたパンをプードルに差し出した。するとジワジワと近付いて来て、パクッと食べた。美味しかったのかガツガツと食べ始め、あっという間に無くなってしまった。
「腹減っとったんか。お前、一人なんか?俺と一緒やなぁ」
微笑みながらそう言うと、プードルは南への警戒が解けたのか尻尾を振ってワンッ!と吠えた。
「ハハ…よし、俺たちは今日から仲間や。名前つけんとなぁ。…よし道頓堀におったから〝ドトボ〟やな。今からお前はドトボやぞ!」
それから南は毎日仕事終わりに川へ行ってはドトボと過ごし、パンを分け合って食べたり、ボールを投げたりして遊んで過ごした。そんな日々を過ごす中、南がふと言葉にしたことがある。
「ドトボを家に連れて行きたいねんけど、俺んちペット禁止やねん…。なんぼ何でも人間ですって言われへんしなぁ…スマンなぁ…」
南は申し訳なさそうにドトボを撫でた。ドトボは何か訴えたそうに、ただジッと南を見ていた。
翌日
いつもと同じように南はドトボの元へ向かった。しかし、どこにも見当たらない。もしかしたらパンを出したら匂いにつられて来るかもしれない…そう思い、袋に手を掛けたその時だった…。
「烈くん…」
ふと声がした方を見ると、綺麗な女性が立っていた。全く知らない人物だったが、美しいそのウェーブの髪を見て、南は思わず声を漏らす。
「もしかして…ドトボ…か…?」
「私のこと、分かるん?めっちゃ嬉しい…!私な、魔女と契約して人間の身体にして貰ってん」
「契約…?」
「頭部以外、あのふわふわの毛を全部渡してん」
道理でワンピースからスラリとのびる手足が美しい訳だ…と南は思った。
「烈くん…私、人間になったよ。だから、連れて帰って…?」
ドトボの真剣な眼差しは、昨日のそれと同じだった。南は黙ってドトボの手を引き、家に帰った。
それからというもの、疲れていた南の人生が一気に華やいだ。仕事から帰れば、プードルだった頃のように飛びついてきて、じゃれ合う。一緒に食べるご飯が美味しくて、ただそれだけで幸せだった。
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