この手で、いつか
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「よしっ!出来た」
『素敵〜!』
何度も試行錯誤し、ついに新メニューの盛り付けが決定した。
『このメニューはいつから出すの?』
「春だな。4月半ばには出せると思う」
『4月半ば…』
「ん?どうした?」
私は黙り込んでしまった。その頃はもう、大阪に行ってしまう…。
せっかく完成したのに…せっかく仲良くなれたのに…。
そう思うとやり切れなくて、何故か涙が溢れた。泣いたら魚住さんが驚いてしまうのは分かっていたけれど、我慢することが出来なかった。
「ほれ」
魚住さんは何も言わず、手拭いを差し出してくれた。それが嬉しくて、私はもっと泣いてしまう。
結局、私が落ち着くまで魚住さんは何も言わず、じっと待っていてくれた。
「落ち着いたか?」
『うん…ごめんなさい…』
私はゆっくりと、自分が大阪に行く話をした。魚住さんは一瞬驚いたような表情を見せたけど、最後まで黙って聞いてくれた。
『…という訳なんだ』
「そうか…でも夢のためなんだろう?泣く必要なんか無いじゃねぇか」
『そうなんだけど…』
言えなかった。
夢のためとは分かっているけれど、魚住さんとの楽しい時間が終わってしまうのが寂しいだなんて…。
結局その日はそこからあまり話が弾むはずもなく、私は家に帰った。
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