Another Story:春に追い付く
NAME CHANGE
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ある晴れた日の朝
名前と南、南の両親は家の外に揃っていた。
「名前ちゃん、頑張りや」
「落ち着いてやれば大丈夫やで」
南の両親が心配そうに声を掛ける。
そう、今日はついに名前の第一志望校の試験日なのだ。
南家には本当にお世話になった。恩返しの為にも、持っている力を全て出し切りたい。
名前はそう考えていた。
『ほな、行ってきます!』
元気良く言って歩き出す。両親は姿が見えなくなるまで、大きく手を振って見送ってくれた。
南はというと、同じ方向ということで少し早いが一緒に家を出ることになり、隣りを歩く。名前のなんだか歩き方がぎこちなく、見兼ねた南はそっと手を握った。
「うわ、手冷た…大丈夫か?」
『いやぁ…さすがに緊張しとるから…』
正直、こんな名前を見たのは初めてだった。比較的こういう場面では冷静で、どこか一歩引いたような、そんな名前がこんな風になるのは、やはりそれだけ大事だということだ。
南は繋いだ手をそのままコートのポケットの中に入れた。
『えっ…南くん…?』
「ちゃんと温めとかんと、得意の数学解かれへんで」
『…ありがと』
ポケットの中で二人の手を握る力はギュッと強くなり、ほかほかと温かくなっていった。
電車が試験会場の最寄駅に着き、二人は電車を降りた。
「悪いな、会場までは送って行かれへんけど…」
『ううん!ここまで来てくれただけでもめっちゃ心強かった。ホンマありがとう』
「肩の力抜いて頑張りや。名字さんなら大丈夫や」
『うん。ええ報告出来るようにするわ!ほな、そろそろ行くね!』
名前は改札に向かって歩き出した。何だか急にスイッチが入ったようにピンと背筋がのびていた。南は見えなくなるまでその背中を見つめ、さっきまで繋いでいた手をポケットの中でギュッと握ってみる。まだ温かくて、何だか名残惜しくなる。
(今日は絶対残業せんと帰ろ…)
南の足取りはいつもより軽かった。
.
名前と南、南の両親は家の外に揃っていた。
「名前ちゃん、頑張りや」
「落ち着いてやれば大丈夫やで」
南の両親が心配そうに声を掛ける。
そう、今日はついに名前の第一志望校の試験日なのだ。
南家には本当にお世話になった。恩返しの為にも、持っている力を全て出し切りたい。
名前はそう考えていた。
『ほな、行ってきます!』
元気良く言って歩き出す。両親は姿が見えなくなるまで、大きく手を振って見送ってくれた。
南はというと、同じ方向ということで少し早いが一緒に家を出ることになり、隣りを歩く。名前のなんだか歩き方がぎこちなく、見兼ねた南はそっと手を握った。
「うわ、手冷た…大丈夫か?」
『いやぁ…さすがに緊張しとるから…』
正直、こんな名前を見たのは初めてだった。比較的こういう場面では冷静で、どこか一歩引いたような、そんな名前がこんな風になるのは、やはりそれだけ大事だということだ。
南は繋いだ手をそのままコートのポケットの中に入れた。
『えっ…南くん…?』
「ちゃんと温めとかんと、得意の数学解かれへんで」
『…ありがと』
ポケットの中で二人の手を握る力はギュッと強くなり、ほかほかと温かくなっていった。
電車が試験会場の最寄駅に着き、二人は電車を降りた。
「悪いな、会場までは送って行かれへんけど…」
『ううん!ここまで来てくれただけでもめっちゃ心強かった。ホンマありがとう』
「肩の力抜いて頑張りや。名字さんなら大丈夫や」
『うん。ええ報告出来るようにするわ!ほな、そろそろ行くね!』
名前は改札に向かって歩き出した。何だか急にスイッチが入ったようにピンと背筋がのびていた。南は見えなくなるまでその背中を見つめ、さっきまで繋いでいた手をポケットの中でギュッと握ってみる。まだ温かくて、何だか名残惜しくなる。
(今日は絶対残業せんと帰ろ…)
南の足取りはいつもより軽かった。
.