あれから1ヶ月くらいが過ぎ、5月になった。

ある日授業が終わった後、担任に呼ばれた。


「今日の理事長との面談な、予定より30分遅れて始めるらしいねん。スポ科の南にも伝えてくれへんか」

『分かりました』


8時間目が終わった後はヘトヘトだというのに、そこからさらに30分待つのか…。どこかで時間を潰すしかない。

そうだ、南くんにも伝えなければ。

ん？そういえば、連絡先を知らない。

どうしよう…。





「ほな、スポ科の校舎行かなアカンやん」

『…やんなぁ』


花子に言われた言葉に何故私がノリ気ではないかと言うと、前に南くんに言われたことが割と現実だからだ。

特進科の生徒は他の科から、ガリ勉、キモい、小バカにしとる、と言われている。

実際、入学したばかりの時、電車で英単語帳を読んでいると他の科の先輩に「豊玉の制服着て、外でガリ勉するの止めてくれへん？恥ずかしいわ」と、英単語帳を叩き落とされたことがある。毎朝、英単語テストがあるからこっちは必死だというのに…。


そういうのがあるからか、特進科というだけで何とも言えない妙な視線を浴びているような気になってしまう。


『うーん…でも先生に頼まれたんやし、大事なことやから伝えなアカンわな…』




私は意を決して、昼休みにスポーツ科の校舎に行ってみることにした。








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