後編
NAME CHANGE
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ずっと会いたかった名前ちゃんが目の前にいる。
伝えたい。
二人きりで話したい。
そんな事を悶々と考えながら、俺たちは至って普通の会話をしていた。大学がどーだとか、バイト先に来た変な客の事とか、最近ハマった音楽の事とか…。やっぱり会話は弾んだし、普通に楽しかった。けれど、肝心の事が言えない。
〝この後、二人で話さへん?〟
あの日はあんなに自然に言えたのに。
『すみません、このオリジナルカクテルっていうの下さい』
「あ、俺も同じの下さい」
グラスを空にすると間が持たないような気がして、俺は咄嗟に名前ちゃんと同じ物を注文した。そして、運ばれてきたのは柑橘系の少し苦みのある飲みやすいカクテルだった。
「美味いな、このカクテル」
『なんか…蜂蜜みたいな味がする』
その言葉に反応し思わず見ると、名前ちゃんは顔を赤らめ小声で恥ずかしそうにしていた。
こんな事言われて、黙っていられるはずがない。
俺は名前ちゃんの手を取り、立ち上がった。
「悪い。俺ら抜けるわ。皆、またな!」
名前ちゃんは『えっ…ちょ…』と戸惑っているようだったが、周りからの「ヒュー!」「仲良うな〜」と揶揄う声にかき消され、聞こえないふりをし、そのまま名前ちゃんの手を引いて店を出た。
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