あの日のことを後悔している
名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
小林「眠かったね」
「うん、ほぼ寝てた」
さっきまで新入生の入学式が行われていた。
春の温かさと長い長い祝辞に負けてしまい、気づけば終わっていた。
小林「新入生の名前呼ばれてたけど聞いてなかった?」
「うん、ゆいぽん知ってる後輩の名前あった?」
小林「私後輩いないから知らない…」
?「え?」
「え?」
ゆいぽんに後輩がいないことに驚いたら
それを聞いていたのか、同じ驚く声が聞こえた。
?「え?優先輩?」
違ったみたいだ、どうやら私だと気づいて驚いたみたいだった
「えっと…久しぶりだね田村」
田村「優先輩、え、本物ですよね?」
久しぶりに会った田村は変わっていなくてなんだか嬉しかった
田村「なんで笑うんですか~!」
そう言うと田村は号泣し始めた。
「え、ちょ、どしたの」
小林「えっと、大丈夫?…ていうか、優なんかしたの?」
「いや!なんもしてない」
田村が大会で負けた時と同じくらいに泣いている
?「あの、」
ちょっと斜め後ろにいた子が田村の背中をさすりながら話しかけてきた。
?「保乃は久しぶりに会えたのが嬉しくて泣いているだけだと思います」
「え、嬉しくて?」
「そうです、先輩の話を保乃から聞いたことあって…多分そうだと」
嗚咽交じりにそうですと返事してくれる。
小林「泣いているところ申し訳ないんだけど、そろそろ行かないと歓迎会始まっちゃうよ?」
「ほんとだ、時間大丈夫?…田村、泣き止もう…」
そう言うとショートの子は
?「ありがとうございます。保乃、バレー入るんやろ?見てこんと」
田村と同じで関西出身だったみたいだ。
田村「行く…。優先輩っ、後で、また、会いましょう」
「うん、後でね~」
2人の後姿を見送り、ゆいぽんと教室に戻った。
小林「すごい仲良いんだね、部活の後輩とか?」
「いやー、別の部活だけどなんか仲良くなった」
理佐伝いで仲良くなったなんて言えないし
ていうか田村って知ってるのかな?
理佐直属の後輩だし知ってるに決まっているか…
しかもあの友達の子も私のこと知ってるって、どこまで話したんだろう
「はぁ…」
小林「なにため息ついてるの?」
「ゆいぽんこそ、なんで私の財布持っているの?」
小林「もうお昼休みだけど?どんだけ考え事してるの…。折角だし食堂行こうよ」
「え!もうお昼なの。行くから財布返して…」
「うわ~みてみ、購買混んでる」
小林「1年生も入ってきたから余計にね。やっぱりメロンパン目当てかな?」
「あれ食べたことないんだけどそんなに美味しいの?」
小林「わからないけど、すぐ売り切れちゃうほど人気だって」
「へぇ、今度頑張ってメロンパン買ってみよう」
小林「そんな簡単に買えないと思うけど」
田村「優先輩!」
田村が両腕にいっぱいのパンを持って走ってきた。
後ろからはショートの子が軽く会釈しながらきた。
「さっきぶり~」
小林「号泣してた子じゃん」
田村「あ!優先輩と同じ中学の後輩の田村保乃です!」
小林「私も同じ中学だった小林由依です」
田村「そうだったんですか!実はこの子もなんですよ!」
藤吉「藤吉夏鈴です」
「田中優です」
小林「意外といるものなんだね」
「ね、うちの中学から来ると思わなかった」
田村「私はバレーで決めました!」
藤吉「私はなんとなく」
「なんとなくで入れるほど頭いいんだ…」
小林「僻むのやめな」
ゆいぽんに頭をはたかれてしまった
それが面白いのか藤吉さんはクスクス笑い、田村は懐かしいものを見るような目で見てきた
その視線がどうしてもむず痒くてすぐに話題を切り出した
「パン買えたの?すごいじゃん」
田村「なんかくれました」
小林「どゆこと?」
田村「保乃と夏鈴が行った時にはもう混んでて、
『パン食べたかったねー』って言ってたら『これあげるよ』って
いろんな学年の人からもらいました!」
田村「この学校の人ってみんな優しいんですね!」
藤吉「新入生サービスですかね」
小林「いやそれ下心あるでしょ」
ぼそっとゆいぽんが呟いたのが聞こえた
確かに、可愛いから話してみたいと思ったんだろう
田村「そうだ!先輩方一緒にご飯食べませんか?」
どうしよう、食べてもいいけど絶対中学のエピソードとか出るだろうなぁ…
折角会えたのにここで断るのも申し訳ないし…
高校の話だけで会話を回すか…
小林「嬉しいんだけど初日ぐらいはクラスの子たちと食べてきた方がいいよ」
ここで私にとって有難い一声が
「そうだね、そのパン少しおすそ分けしたりして仲深めた方がいいよ」
田村「あー、じゃあ、また今度一緒に食べましょうね!」
小林「うん、またねー」
「藤吉さんも食べようね~」
藤吉「はい」
次の約束をして二人は教室に向かっていった
小林「ねぇ優。食堂やめる?」
「え、なんでよ」
小林「なんか顔色悪くない、大丈夫?」
「あぁ、大丈夫!二人の後輩美少女に話しかけられたからさ緊張しちゃって!」
小林「ふーん」
「ゆいぽんっていう美少女も一緒にいたから余計にね」
小林「…はぁ」
「ため息つくと幸せ逃げるよ」
小林「これは呆れてるの、心配して損した。なんか奢ってね」
「えぇ、全然奢るけど」
ゆいぽん鋭いなぁ、些細な変化に気づいてくれるなんて
嬉しいような、面倒くさいような、なんか複雑だな
これも理佐と同じクラスになり始めてからだな…
理佐のせいじゃない、自分のせいか…