アザゼルの管理人とその右腕
「キスしないと出られない部屋……?」
思わずヘラグ様と顔を見合わせてしまいました。任務から帰還して部屋に戻ってきたはずなのに、見覚えのない白い部屋に変わっていたのです。ドアには鍵が掛かっていて、彼の刀で斬ることやアーツを使うことも考えましたが、壊すと危ないという結論になり、指示に従おうということになりました。
「大丈夫か、ベスタ」
「……はい」
彼は命の恩人で特別な人ですが、それは恋愛というより信仰に近しいもの。
それに、亡き夫と息子のことや、巫女を務めていた時の意識が残っています。
「貴女の気持ちを尊重しよう。時間はあるから、納得が行くまで考えていいさ」
「はい……ありがとうございます」
ヘラグ様には、誰かと付き合った経験があるのでしょうか。でも、ずっと戦争に出向いていて、軍を辞めた後は子どもたちの面倒を見ていたりしているから……。
時間は限られていますし、考えるのはここまでにしましょう。
「ヘラグ様」
「ん?」
「私のことを、どう思っていらっしゃいますか」
彼は目を閉じて、口元に手を当てて考え始めました。少しして、結論が出たのか目が開きました。
「……愛している。貴女のことを、戦友として、一人の女性として、心から想っている」
私を見据える目は真剣で、今まで見たことないものでした。逸らそうとしても、頬に手を添えられていて、それも叶いません。
「ベスタ、すまない。無理強いさせたくはなかったが、貴女の気持ちを教えてくれ」
ぎゅ、と空いた手を握られました。
言葉は優しくても、手に込められた力は強くて、逃げられないと悟りました。
「ヘラグ様……私も、貴方のことをお慕い申し上げております。どうか、最期の時まで傍に居させてください」
巫女でもなく、母でもなく。一人の人間として、私はヘラグ様が好きなんです。
「ありがとう。さて……どこにしようか」
頬に添えられていた手が、私の唇をなぞって。
「いいかな?」
返事の代わりに頷くと、彼の顔が近付いてきました。緊張して目を瞑ると、唇だけでなく、体全体に柔らかくて、温かい感触が広がって……。
「!」
圧迫感に目を開けると、ヘラグ様と目が合いました。いつものような穏やかな目だったけれど、熱を帯びていて、ドキドキしてしまいました。
「開いたみたいだ。帰ろうか」
腰が抜けてしまって立てない私を、彼は軽々と抱えてくれました。ドアを抜ければいつもの部屋で、特に変わった様子もありませんでした。
「戻ってこれましたね」
「あぁ、無事で良かったよ」
そう言ってヘラグ様は、私をソファーに下ろしてくれました。ホットミルクを作ってもらい、二人でゆっくり飲んで……。
「どうした?」
「その、本当に……してしまったな、と」
思い出すだけで顔が熱くなるんです。
触れただけなのに、じわりとした熱さをまだ身体が覚えていて。
「ベスタ、こっちを向いてくれ」
「はい……んっ」
また口づけをされ、私は思わず声を漏らしてしまいました。分厚くて長い舌が口内に入ってきて、さっきは遠慮していたんだと気付くのに、時間はかかりませんでした。
「ぷはぁ……」
乱れた息を整えていると、頭を優しく撫でられました。ヘラグ様の手はやっぱり大きくて、それだけでも安心感に包まれるんです。
「ベスタ……二人きりのときは、気を張らなくていい。私の前では、そのままの貴女でいてほしいんだ」
「はい……!」
そのまま抱き寄せられたところで、私からも口づけをしました。
「ヘラグ様、大好きです。貴方と結ばれて、私は幸せです」
「私もだ。それはそうと、明日は休みだ」
ヘラグ様の手が、私の手の甲をゆっくりと撫でます。
「だから……今夜は、今までの分も愛し合おう」
熱のこもった低い声で囁かれては、逆らうこともできません。返事の代わりに、私は頷きました。
いつも寝ているはずのベッドなのに、これから起こることを考えると、変に緊張してしまいます。
「私だけを見ていればいい……他のことは何も考えるな」
思わずヘラグ様と顔を見合わせてしまいました。任務から帰還して部屋に戻ってきたはずなのに、見覚えのない白い部屋に変わっていたのです。ドアには鍵が掛かっていて、彼の刀で斬ることやアーツを使うことも考えましたが、壊すと危ないという結論になり、指示に従おうということになりました。
「大丈夫か、ベスタ」
「……はい」
彼は命の恩人で特別な人ですが、それは恋愛というより信仰に近しいもの。
それに、亡き夫と息子のことや、巫女を務めていた時の意識が残っています。
「貴女の気持ちを尊重しよう。時間はあるから、納得が行くまで考えていいさ」
「はい……ありがとうございます」
ヘラグ様には、誰かと付き合った経験があるのでしょうか。でも、ずっと戦争に出向いていて、軍を辞めた後は子どもたちの面倒を見ていたりしているから……。
時間は限られていますし、考えるのはここまでにしましょう。
「ヘラグ様」
「ん?」
「私のことを、どう思っていらっしゃいますか」
彼は目を閉じて、口元に手を当てて考え始めました。少しして、結論が出たのか目が開きました。
「……愛している。貴女のことを、戦友として、一人の女性として、心から想っている」
私を見据える目は真剣で、今まで見たことないものでした。逸らそうとしても、頬に手を添えられていて、それも叶いません。
「ベスタ、すまない。無理強いさせたくはなかったが、貴女の気持ちを教えてくれ」
ぎゅ、と空いた手を握られました。
言葉は優しくても、手に込められた力は強くて、逃げられないと悟りました。
「ヘラグ様……私も、貴方のことをお慕い申し上げております。どうか、最期の時まで傍に居させてください」
巫女でもなく、母でもなく。一人の人間として、私はヘラグ様が好きなんです。
「ありがとう。さて……どこにしようか」
頬に添えられていた手が、私の唇をなぞって。
「いいかな?」
返事の代わりに頷くと、彼の顔が近付いてきました。緊張して目を瞑ると、唇だけでなく、体全体に柔らかくて、温かい感触が広がって……。
「!」
圧迫感に目を開けると、ヘラグ様と目が合いました。いつものような穏やかな目だったけれど、熱を帯びていて、ドキドキしてしまいました。
「開いたみたいだ。帰ろうか」
腰が抜けてしまって立てない私を、彼は軽々と抱えてくれました。ドアを抜ければいつもの部屋で、特に変わった様子もありませんでした。
「戻ってこれましたね」
「あぁ、無事で良かったよ」
そう言ってヘラグ様は、私をソファーに下ろしてくれました。ホットミルクを作ってもらい、二人でゆっくり飲んで……。
「どうした?」
「その、本当に……してしまったな、と」
思い出すだけで顔が熱くなるんです。
触れただけなのに、じわりとした熱さをまだ身体が覚えていて。
「ベスタ、こっちを向いてくれ」
「はい……んっ」
また口づけをされ、私は思わず声を漏らしてしまいました。分厚くて長い舌が口内に入ってきて、さっきは遠慮していたんだと気付くのに、時間はかかりませんでした。
「ぷはぁ……」
乱れた息を整えていると、頭を優しく撫でられました。ヘラグ様の手はやっぱり大きくて、それだけでも安心感に包まれるんです。
「ベスタ……二人きりのときは、気を張らなくていい。私の前では、そのままの貴女でいてほしいんだ」
「はい……!」
そのまま抱き寄せられたところで、私からも口づけをしました。
「ヘラグ様、大好きです。貴方と結ばれて、私は幸せです」
「私もだ。それはそうと、明日は休みだ」
ヘラグ様の手が、私の手の甲をゆっくりと撫でます。
「だから……今夜は、今までの分も愛し合おう」
熱のこもった低い声で囁かれては、逆らうこともできません。返事の代わりに、私は頷きました。
いつも寝ているはずのベッドなのに、これから起こることを考えると、変に緊張してしまいます。
「私だけを見ていればいい……他のことは何も考えるな」
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