short

断片-5

2026/07/09 14:29
2026/6/13

※昴は189cm、透は187cmあります。

 夜。勇の部屋にて。
 勇、歩、ソファーに隣り合って座っている。
勇「リカルド、40歳のおじさんでも頑張れば背が伸びるかな?」
歩「それは無理じゃないかな。むしろこれから縮むと思うけど…」
勇「そうだよね… 骨を切って背を伸ばす手術しかないか…」
歩「待って、待って。そんなことしたら登山できなくなっちゃうよ。何で? 何でそこまで大きくなりたいの?」
勇「丹羽さんと呉本さんより大きくなりたくて」
歩「マルセロより!? それって190cmだよ。すでに184cmあるんだから十分じゃん」
勇「184cmだからこそだよ。今まで大抵の場所で僕が一番だったのに、ここでは三番なんだよ。たった12人しかいないのに。長身のプライドというものがあるんだよ」
歩「贅沢な悩みだな… 俺にはよくわからないよ、169cmしかないからね」
勇「リカルドはそのままでいいんだよ。そのままのリカルドを愛してるから」
歩「ムカつくのは何でだろう… でも勇だってそのままがいいよ。俺は勇の身長を愛してるんじゃなくて、勇という存在を愛しているんだから」
勇「うふふ、ありがとう」
歩「それに勇が今より大きくなったら、立って並んだときに顔が見えなくなっちゃうよ。ずっと勇の顔を見つめていたいのに」
勇「そうだね。僕もリカルドから見つめられたいし、リカルドのことを見つめたいよ」
歩「だろ?」
勇「だけどやっぱり丹羽さんと呉本さんには勝ちたい。特に呉本さん! あの人、態度も大きいのに、物理的にも見下してくるのが許せないんだ!」
歩「透は感情表現がヘタなだけで、悪気があるわけじゃないから…」
勇「それは知ってるけど… ムカつくものはムカつくだもん」

2026/5/21

 昼。栄太の執務室にて。
 栄太は椅子に座っている。和真は栄太のデスクの前に立っている。
和真「寮の規則について相談があるんだけど…」
栄太「何でしょう?」
和真「ここのところ暑すぎるよね。だから寮の中では全裸で過ごすことを許可してほしいんだ」
栄太「却下します」
和真「即答!? いつもだったら『検討します』とか言うのに」
栄太「検討するまでもありません」
和真「みんなには聞かないの? 寮は全員で運営することになってるんじゃないの?」
栄太「わざわざ聞かなくても答えはわかりきっています。NOです」
和真「話し合ってみたら違うかもしれないでしょ。この暑さはみんなにとっても耐えがたいはずだよ」
栄太「確かに耐えられない暑さですが、みんなには理性と羞恥心があるんです、和真とは違って」
和真「それならパンイチで過ごすのもダメ?」
栄太「…わかりました。会議くらいはしてもいいでしょう。ただし署名を集めてくださいね」
和真「必要な署名の数は?」
栄太「和真と私を除いて10です」
和真「全員じゃん!」
栄太「もちろん。話し合いすら拒む人がいながら、どうやって相手を説得するつもりなんですか。それに『共有部分では服を着なければならない』なんてトンチキなルールができたのは誰のせいでしたっけ?」
和真「そうだね、俺のせいだったね…」
栄太「そうですよね? 和真が裸でうろちょろするから、みんなから苦情が殺到したんですよね?」
和真「わかったよ… でもパンイチになることに同意してもらえなくても、とりあえず話し合うことに同意してもらえたらいいんだよね? 何とかなるかもしれない。やってみるよ」
栄太「(微笑んで)せいぜい頑張ってください」

2026/5/14

※勇は福島県の出身です。

 昼。歩の部屋のリビング。
 歩、勇、ソファーで隣り合って座っている。
勇「リカルド、『ナッパタイタン』って知ってる?」
歩「何だって?」
勇「ナッパタイタンだよ。どうやら食べ物らしくて」
歩「それは日本の食べ物?」
勇「おそらく… 寺田さんに作り置きを持って行ってあげようと思って、何が食べたいか聞いてみたら、ナッパタイタンが食べたいって… 寺田さん、急に尿意に襲われたみたいで、意味を尋ねる前にいなくなっちゃったんだ」
歩「そうなんだ… それは瑞希に聞くしかないんじゃないかな。俺に聞かれても困るよ、ブラジル人だもん」
勇「でもトイレを邪魔するのは良くないし…」
歩「いつの話か知らないけど、さすがにとっくに出てるよ。…たぶんネットで調べた方が早いか」
 歩、テーブルの方に手を伸ばし、スマホを掴む。
歩「もう一度」
勇「ナッパタイタン」
 歩、スマホで「なっぱたいたん」を検索。
歩「たぶんこれだ」
 歩、勇にスマホの画面を見せる。
 勇、スマホを覗き込みながら、
勇「なるほど。『菜っ葉を炊いたもの』のことだったのか。味付けはやっぱり関西風かな?」
歩「ところで勇、そんなことまでしてあげてたの? 負担になるようなら断りなよ」
勇「違う、違う。別に負担とか強制されてるとかじゃないよ。僕の一方的なお節介みたいなものだから。寺田さん、料理は得意じゃないみたいだし」
歩「そうならいいけど…」
勇「大丈夫。僕だって気が向いたときにしかやらないよ。これは本当に自己満足なんだ。僕、人から喜ばれることで自分を満たしてるところがあるのかもしれない」
歩「勇はそういうところあるよな。でも自分のことも大事にな」
 歩、勇を抱き締める。
勇「うん。そこはリカルドが面倒を見てくれてもいいんだよ?」
歩「(笑って)そうするよ」

2026/5/3

※犯罪行為についての軽い言及があります。そのような行為を推奨する意図はありません。
※マリカとは尚人が飼っている猫のことです。

 4月の中旬。夜。瑞希の部屋にて。
 瑞希、成美、和真、テーブルを囲んで床に座っている。テーブルの上には酒やつまみが置かれている。
瑞希「そろそろ尚人の誕生日やん。一応はパートナーやから何か買うたろうと考えてんねんけど、何がええか迷ってんねん」
成美「そういえばそうだったな。去年はどうしてたよ?」
瑞希「特に… この4人で一緒に祝ったからそれでええかなって。でも今年はパートナーとして何かしたろうと思うて」
和真「プレゼントを選ぶのって難しいよね… 候補は?」
瑞希「Francfrancとか?」
成美「尚人、好きだもんな」
和真「でも相手の好きなものを贈るのってけっこう悪手じゃない? 欲しいものは自分で買ってるでしょ」
成美「確かに。猫のグッズはどうよ?」
瑞希「たぶんマリカのことは尚人が一番(いっちゃん)_わかってるからな。やっぱり無難にアクセサリーかな…」
成美「アクセサリーはムズいだろ。俺、アクセサリーを貰って嬉しかったことねぇわ」
和真「瑞希、尚人にはジャスティンデイビスは似合わないよ」
瑞希「何で俺の考えてることわかったんや!?」
成美「瑞希、お前にはプレゼントを選ぶセンスはねぇよ」
瑞希「それくらい承知してるわ。…いっそのこと『極上野菜』にしようかな。知人に用意してくれそうな奴いてるし」
和真「何て?」
成美「『ヤサイ』だよ」
瑞希「合法か違法かで言うたら違法やな」
和真「そっちね。喜ぶだろうね、尚人は」
成美「ポリには黙っててやるよ。せいぜい見つからないようにしろよ」
和真「無難に消え物にしたら? 花とかスイーツとか。やっぱりプレゼントは消え物が最強だよ」
瑞希「それやったら無難すぎへん?」
和真「さすがに誕生日に逮捕されたらかわいそうだからね。リスクは避けよう」
成美「プレゼントなんて気持ちだよ、気持ち。自分のために選んでくれたってことが大切なんだよ」
瑞希「そういうもんけ?」
和真「そういうものでしょ」
成美「買い物には付き合ってやるよ。ところで俺の誕生日が6月9日だって知ってた?」
瑞希「知ってるけど…」
和真「俺の誕生日は9月14日ね」
瑞希「それも知ってるけど。いきなり何?」
成美「期待して待ってんから」
和真「よろしく」
瑞希「ええけど… 俺の誕生日が8月22日やってことも忘れんといてや」

2026/4/5

※性行為についての言及があります。NSFWです。

 夜。和真の部屋のリビング。
 和真、成美、テーブルを挟んで、向かい合って床に座っている。テーブルの上には酒や軽食。
和真「何で青姦って禁止されてるんだろ。解禁されないかな」
成美「お前、いきなり何てこと言うんだよ」
和真「そんなにマズいこと言った? 成美だってもう大人なんだから、セックスについて話すことを恥ずかしがるような年でもないでしょ」
成美「そういう問題じゃねぇよ。青姦はダメに決まってんだろ」
和真「どうして? 性行為なんて特別でも何でもないよね。人前でハグやキスするのはいいのに、何でセックスはダメなの? セックスをそこまで特別視する必要ある?」
成美「どうしてって… 目のやり場に困るだろ。青姦してる奴がいたら、その道を通れなくなるじゃねぇか」
和真「セックスが特別なことじゃなくなったら、セックスしてるところを見たとしても恥ずかしいと感じなくなるんじゃないかな。当たり前のことにしようよ、セックス」
成美「そこは排泄と一緒じゃね? うんこするのだって当たり前のことだけど、他人に見せるのは恥ずかしいだろ。トイレなんてなくてもいいってことにはならねぇじゃん」
和真「公衆衛生を保つためにもトイレは必要なんだけど、便器があればドアはいらないよね。うんこするときって暇だから、隣りの人と話せたらいいよね」
成美「お前の考えにはついて行けねぇ… それならうんこしてるときにドアを開けてもいいんだな?」
和真「それは嫌。まだ人前でうんこすることは当たり前じゃないから、俺にも恥の意識がある。セックスなら覗いてくれても構わないよ」
成美「でも他人に無防備なところを見られると、危害を加えられる可能性ないか? 俺はそういうのを考えちまうな」
和真「確かにそうだね… 理想を実現するためには、あらゆるジェンダーとセクシュアリティーが平等であることが必須だよね。そして性教育の徹底ね。お互いがバウンダリーを尊重できるようにならないと」
成美「それは同意なんだけど… 和真、イカれてるのか倫理的なのかわからねぇ…」

2026/1/17

※勇は福島県猪苗代町、昴は新潟県長岡市の出身です。

昼。本部の食堂にて。
勇、横向きに椅子に座り、ズボンの裾をまくって、自分の膝を観察している。膝には痣ができている。
昴、勇の近くを通りがかり、立ち止まる。
昴「お疲れさまです」
勇、顔を上げて、
勇「お疲れさまです」
昴「何してるんですか?」
勇「さっき膝をぶつけちゃったので、様子を見てるんです。やっぱり痣になってるな…」
昴「痛そうですね。(勇の膝を指差し)ところでぶんず色って言うんですよね、それ」
勇「ぶんず色って何ですか? 新潟の方言ですか?」
昴「福島の方言でしょう。違うんですか?」
勇「さあ? 少なくとも地元では聞いたことないですね」
昴「僕、大学が仙台だったんで、福島出身の友達もけっこういたんです。その友達から聞いたことなんですが」
勇「もしかしたら中通りや浜通りでは言うのかもしれませんね。知ってるとは思いますが、福島って広いんですよ」
昴「地域差があって当然か。新潟も地域によって言葉が違いますからね」
勇「そういえば新潟では何と言うんですか、青痣のこと」
昴「死ぬ。『膝が死んでますね』みたいに言います」
勇「怖い」

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