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祈願
2026/07/06 06:23※歩(リカルド)はブラジルで生まれ育っています。
○大阪の街 昼
2026年6月30日。
勇、歩、神社の境内に面した道を歩いている。境内の建物や木によって中は見えない。周辺は下町情緒が残っていて、商店や住宅が立ち並んでいる。
歩「ここ、足に効果あるんだっけ?」
勇「そうだよ」
歩「日本には足の神さまもいるんだな」
勇「足の神さまというか…リカルドは菅原道真って知ってる?」
歩「あー、聞いたことはあるよ」
歩、少し考え込んでから、
歩「確かハメられて左遷されて、その無念から怨霊になったと恐れられたんだよな? それで祟りを鎮めるために神さまとして祀られたってことだったような」
勇「そう、その人だよ」
歩「でも菅原道真って学問の神さまってイメージじゃなかった?」
勇「うん、一般的にはそうだよ。でもここは足の神さまのなんだ。菅原道真が太宰府に向かう途中、この地で動けなくなってしまったらしいんだ。それ以前からここには少彦名命って神さまがお祀りされていたんだけど、菅原道真が少彦名命にお祈りしたところ、奇跡的に足が治ったんだって。やがて菅原道真が太宰府で亡くなってから、ここでも神さまとしてお祀りするようになったという話みたいだよ」
歩「そんな謂れがあったんだ」
勇、歩、話しながら鳥居をくぐる。
勇「ほら、足の神社って感じするでしょ?」
勇、鳥居をくぐったところで立ち止まる。歩も続けて立ち止まる。
境内の手前に1.5mくらいの巨大な下駄が置かれている。下駄より奥から拝殿の手前まで、参道に沿って木材が組まれていて、そこに小さな下駄がたくさん吊るされている。下駄の一つ一つから短冊がぶら下がっている。
歩「ちょっとしたテーマパークみたいだな」
歩、巨大な下駄を指差し、
歩「勇、あれ、撮っても大丈夫かな?」
勇「たぶん大丈夫だよ。僕が撮ろうか?」
歩「せっかく一緒に来たんだし一緒に写ろうよ」
勇「(微笑んで)そうしようか」
× × ×
勇、歩、寄り添うように立っている。
歩、スマホを掲げている。スマホはインカメラになっていて、画面には勇と歩の顔、その背景に巨大な下駄が写っている。
歩「Xis. 」
勇、歩、笑顔を作る。
歩、写真を撮る。
歩、写真を確認する。勇は横からスマホを覗き込む。
勇「リカルド、今日も素敵に写ってる。後で僕にも送ってね」
歩「もちろん。勇も素敵だよ」
× × ×
勇、歩、手水舎の方から拝殿の方へ向かって歩いている。
歩、木材が組まれている下で立ち止まり、短冊の一つを手に取る。勇も続いて立ち止まる。
歩「これ、何だろう?」
歩、短冊をひっくり返す。短冊には願い事が書かれている。
歩「『日本がワールドカップで活躍しますように』… これ、願い事か」
勇「日本、敗退しちゃったけどね」
歩「相手がブラジルだったから仕方ないよ。日本は運が悪かっただけさ」
勇「日本を負かしたからには、ブラジルには勝ち進んでほしいね」
歩「もちろんブラジルが優勝するさ」
歩、別の短冊をひっくり返す。『日本がブラジルに勝ちますように』と書かれている。
歩、鼻で笑って、短冊を元に戻す。
× × ×
勇、歩、拝殿の手前で立っている。
歩「勇は何をお願いするつもり?」
勇「やっぱり膝の健康かな」
歩「膝、まだ痛むの?」
勇「たまに、ね。登山してると宿命みたいなものなんだよ。これから夏山、秋山に向けてしっかり整えたいからね」
歩「それなら俺も同じ願い事をしようかな、勇の膝が健康でありますようにって」
勇「えっ、いいんだよ、願いたいことを願ってくれて。『ブラジルがワールドカップで優勝しますように』でも」
歩「それ、日本の神さまに言って聞いてくれるかな?」
勇「無理かな?」
歩「それに俺の願いは勇の幸せなんだ。だから気にしないで」
勇「(微笑んで)ありがとう」
勇、賽銭箱の前へ歩み出る。歩も続く。
勇、鈴を鳴らす。
勇、歩、賽銭を投げ入れる。
勇、歩、お辞儀を二回、拍手を二回して、しばらく顔の前で手を合わせる。
勇、歩、お辞儀を一回して、顔を上げる。
勇「行こうか」
勇、歩、鳥居の方へ向かって歩き出す。
勇「僕、ここには繰り返し来てるけど、改めてリカルドと一緒に来られて良かった。それだけで思い出になったよ」
歩「俺も勇と一緒じゃなかったら、今日がここまで輝いてなかったと思うよ」
勇「リカルドが僕のために祈ってくれたから、きっと効力も倍になってるね」
歩「そうなることを願ってるよ」
勇「実はちょっと不安だったんだ」
歩「…不安? どうしたの?」
少し間を置いて、
勇「リカルドからまた駅弁をリクエストされたときに、この膝では応えられないかもしれないって。年下と付き合った以上は、そういう好奇心も満たしてあげないと…」
歩、勇の話を遮って、
歩「ちょ、ちょっと、勇!」
勇「でもリカルドの愛の祈りがあったから、きっと神さまも叶えてくれるよ。これから挑戦したい体位があれば、何でも遠慮なく言ってね。僕の願いを叶えてくれるのは神さまと医者だけど、リカルドの願いは僕が叶えるから」
歩「気持ちは嬉しいけど… その話は今はやめよう。ここで話すことじゃない」
勇「より的確に願いを叶えてもらうためにも、正直なニーズを神さまに知ってもらわないと」
歩「心で思うだけで十分じゃないかな、神さまだもん」
勇「そうかな」
歩「たぶんそうだよ。続きは帰ってからにしよう」
勇「(満面の笑顔で)うん」
❤️
○大阪の街 昼
2026年6月30日。
勇、歩、神社の境内に面した道を歩いている。境内の建物や木によって中は見えない。周辺は下町情緒が残っていて、商店や住宅が立ち並んでいる。
歩「ここ、足に効果あるんだっけ?」
勇「そうだよ」
歩「日本には足の神さまもいるんだな」
勇「足の神さまというか…リカルドは菅原道真って知ってる?」
歩「あー、聞いたことはあるよ」
歩、少し考え込んでから、
歩「確かハメられて左遷されて、その無念から怨霊になったと恐れられたんだよな? それで祟りを鎮めるために神さまとして祀られたってことだったような」
勇「そう、その人だよ」
歩「でも菅原道真って学問の神さまってイメージじゃなかった?」
勇「うん、一般的にはそうだよ。でもここは足の神さまのなんだ。菅原道真が太宰府に向かう途中、この地で動けなくなってしまったらしいんだ。それ以前からここには少彦名命って神さまがお祀りされていたんだけど、菅原道真が少彦名命にお祈りしたところ、奇跡的に足が治ったんだって。やがて菅原道真が太宰府で亡くなってから、ここでも神さまとしてお祀りするようになったという話みたいだよ」
歩「そんな謂れがあったんだ」
勇、歩、話しながら鳥居をくぐる。
勇「ほら、足の神社って感じするでしょ?」
勇、鳥居をくぐったところで立ち止まる。歩も続けて立ち止まる。
境内の手前に1.5mくらいの巨大な下駄が置かれている。下駄より奥から拝殿の手前まで、参道に沿って木材が組まれていて、そこに小さな下駄がたくさん吊るされている。下駄の一つ一つから短冊がぶら下がっている。
歩「ちょっとしたテーマパークみたいだな」
歩、巨大な下駄を指差し、
歩「勇、あれ、撮っても大丈夫かな?」
勇「たぶん大丈夫だよ。僕が撮ろうか?」
歩「せっかく一緒に来たんだし一緒に写ろうよ」
勇「(微笑んで)そうしようか」
× × ×
勇、歩、寄り添うように立っている。
歩、スマホを掲げている。スマホはインカメラになっていて、画面には勇と歩の顔、その背景に巨大な下駄が写っている。
歩「Xis. 」
勇、歩、笑顔を作る。
歩、写真を撮る。
歩、写真を確認する。勇は横からスマホを覗き込む。
勇「リカルド、今日も素敵に写ってる。後で僕にも送ってね」
歩「もちろん。勇も素敵だよ」
× × ×
勇、歩、手水舎の方から拝殿の方へ向かって歩いている。
歩、木材が組まれている下で立ち止まり、短冊の一つを手に取る。勇も続いて立ち止まる。
歩「これ、何だろう?」
歩、短冊をひっくり返す。短冊には願い事が書かれている。
歩「『日本がワールドカップで活躍しますように』… これ、願い事か」
勇「日本、敗退しちゃったけどね」
歩「相手がブラジルだったから仕方ないよ。日本は運が悪かっただけさ」
勇「日本を負かしたからには、ブラジルには勝ち進んでほしいね」
歩「もちろんブラジルが優勝するさ」
歩、別の短冊をひっくり返す。『日本がブラジルに勝ちますように』と書かれている。
歩、鼻で笑って、短冊を元に戻す。
× × ×
勇、歩、拝殿の手前で立っている。
歩「勇は何をお願いするつもり?」
勇「やっぱり膝の健康かな」
歩「膝、まだ痛むの?」
勇「たまに、ね。登山してると宿命みたいなものなんだよ。これから夏山、秋山に向けてしっかり整えたいからね」
歩「それなら俺も同じ願い事をしようかな、勇の膝が健康でありますようにって」
勇「えっ、いいんだよ、願いたいことを願ってくれて。『ブラジルがワールドカップで優勝しますように』でも」
歩「それ、日本の神さまに言って聞いてくれるかな?」
勇「無理かな?」
歩「それに俺の願いは勇の幸せなんだ。だから気にしないで」
勇「(微笑んで)ありがとう」
勇、賽銭箱の前へ歩み出る。歩も続く。
勇、鈴を鳴らす。
勇、歩、賽銭を投げ入れる。
勇、歩、お辞儀を二回、拍手を二回して、しばらく顔の前で手を合わせる。
勇、歩、お辞儀を一回して、顔を上げる。
勇「行こうか」
勇、歩、鳥居の方へ向かって歩き出す。
勇「僕、ここには繰り返し来てるけど、改めてリカルドと一緒に来られて良かった。それだけで思い出になったよ」
歩「俺も勇と一緒じゃなかったら、今日がここまで輝いてなかったと思うよ」
勇「リカルドが僕のために祈ってくれたから、きっと効力も倍になってるね」
歩「そうなることを願ってるよ」
勇「実はちょっと不安だったんだ」
歩「…不安? どうしたの?」
少し間を置いて、
勇「リカルドからまた駅弁をリクエストされたときに、この膝では応えられないかもしれないって。年下と付き合った以上は、そういう好奇心も満たしてあげないと…」
歩、勇の話を遮って、
歩「ちょ、ちょっと、勇!」
勇「でもリカルドの愛の祈りがあったから、きっと神さまも叶えてくれるよ。これから挑戦したい体位があれば、何でも遠慮なく言ってね。僕の願いを叶えてくれるのは神さまと医者だけど、リカルドの願いは僕が叶えるから」
歩「気持ちは嬉しいけど… その話は今はやめよう。ここで話すことじゃない」
勇「より的確に願いを叶えてもらうためにも、正直なニーズを神さまに知ってもらわないと」
歩「心で思うだけで十分じゃないかな、神さまだもん」
勇「そうかな」
歩「たぶんそうだよ。続きは帰ってからにしよう」
勇「(満面の笑顔で)うん」
❤️